circus -第一幕-

□#18 奈落の淵U
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『ニシダさんにもきっと大切なものがあるはずです。』



「そうですなぁ…。本当にそうだ。人生捨てたもんじゃない。捨てたもんじゃないですなぁ…。」



ニシダさんは目に涙を浮かべてそう言った。



「私にできることは何もありませんが、頑張ってください!」



ニシダさんは私とキリトの手を一緒に重ねて握った。




「『転移、グランザム!!』」




――――2024年、11月7日、
第55層、グランザム


血盟騎士団の本部へ行くとそこにはトウリとアスナの姿もあった。


『二人も召集されたんだね。』



「えぇ…。」



そういうアスナはなんだか機嫌が悪そうだった。
あながち新婚生活を満喫できなかったのだろう。


――


「偵察隊が全滅!?」


「来るボス戦に備え、5ギルド合同20名のを送り込んだ。だが、最初の10人が部屋の中央に到達して、ボスが出現した途端、入り口の扉が閉ざされてしまったんだ。」



「クリスタル無効化エリアか…ッ」



「そして5分ほど経過して…ようやく扉が開いたとき…、部屋の中には何もなかったそうだ。10人の姿もボスも消えてしまっていた。」



「バカな…ッ」



『そんな…ッ』



「だからといって攻略を諦めるわけにはいかない。可能な限り、大部隊を持って当たるしかない。」



「協力はさせてもらいますよ。だが、俺にとってはモモの安全が最優先です。
もし危険な状況になったら、パーティー全体よりも彼女を守ります。」



「何かを守ろうとする人間は強いものだ。優先を期待するよ。」



そういってヒースクリフとの会話は終わりを告げた。
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