circus -第一幕-

□#15 ユイの心
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「初めまして。ユリエールと申します。」



『≪軍≫の方ですよね…、昨日のことで何か?』



モモは敵意剥き出しのまま訊ねる。



「相変わらず≪軍≫が嫌いなんだな。」



『だっていいイメージないじゃない。』



それをキリトが抱き寄せてゆっくり体を擦ってやり、落ち着かせた。




「いえいえ、その逆です。よくやってくれたと、お礼を言いたいくらい…。今日は二人にお願いがあってやってきたのです。」



「『??』」



――――



「元々私たちは…いえ、ギルドの管理者シンカーは決して今のような独善的な組織を作ろうとしていた訳じゃないんです。
ただ情報や食料をなるべく多くのプレイヤーで均等に分かち合おうとしただけで…」



「だが、≪軍≫は大きくなりすぎた。」



「はい。内部分裂が続く中、台頭してきたのが"キバオウ"という男です。
キバオウ一派は権力を強め、効率のいい狩場を独占したり、調子に乗って徴税と称した恐喝まがいの行為までし始めたのです。
でも、ゲーム攻略をないがしろにするキバオウを批判する声が大きくなって、キバオウは配下の中で、最もハイレベルのプレイヤーたちを最前線に送り出したのです。」



ユリエールの言葉にモモたちは身に覚えがあった。


『コーバッツのことですか…』


「最悪の結果にキバオウは強く糾弾され、あともう少しのところで彼をギルドから追放できるところまでいったのですが…。
追い詰められたキバオウは、シンカーを罠にかけるという強攻策に出ました。
シンカーをダンジョン奥深くに置き去りにしたのです。」



「!!」



『なんてことを…ッ、最低な奴…』
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