純心
□白い夜
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「はあ…」
息を吐くとそれは雪景色の中にすうっと消えていった。
宗次郎は剣心と旅館の外で雪かきをしていた。
初めて体験する北海道の冬は想像以上に厳しいものだったが、不思議と辛いとは感じない。
「…そろそろ今年も終わりでござるな」
剣心が呟くと手を止めた。
「正直、今年の始めには年末にこうなっていることなんておよそ考えもしなかった。
流浪人として流れていたのに、一つ所に留まり、多くの人と出会い…別れ。
そして心の平安を取り戻した。
…何とも波乱万丈の一年だったでござる」
今年を振り返っているのか、剣心は空を仰ぎくすりと笑った。
「お主にとっても今年は波乱万丈の一年だったのではござらんか?」
「僕…ですか?」
そう言われて思い起こそうとした時、もうすっかり耳に馴染んだ声が自分を呼ぶのが聞こえた。
「…宗次郎さん!」
雪の中息を切らせて駆けてくるその姿に先程までの思考は完全に停止した。
かわいいなあ。
心からそう想い自然と笑みがこぼれ出る。
「どうしたんですか?そんなに急いで」
「雪かき、大分終わったみたいですね」
##NAME1##は辺りを見回しながら呼吸を整えた。
「今夜は忘年会と新年会を一緒にやるから…って由美さんが」
「おろ?」
「それって…」
「初日の出まで飲み明かすんだって…」
「あはは。由美さんらしいや」
「それで、そっちの準備も手伝ってほしいそうです」
「拙者が行こう。ふたりは悪いが、茶を淹れてはくれぬか。すっかり体が冷えてしまった」
「わかりました。では由美さんの方はお願いします。
##NAME1##さん、行きましょう」