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□【国露】月、見ない?
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パソコンのキーボードを打つ音だけが聞こえる。
なんてことない仕事場の風景だ。
ある、ひとつの事を除いて。
「何の用ですか御国先輩。俺は仕事忙しいんですよ。分かったらさっさと帰ってください。」
毎回毎回、なぜ俺のところに遊びに来るのだろうか。
こっちは迷惑で仕方がないというのに。
本当は追い出してやりたい。
そんな俺の考えを知ってか知らずか、いつも通りにへらへらと笑いながら話を続けてくる。
「まーまーそう言わずに♪…ところでさ、修平今日が何の日か知ってる?」
なんの日って、記念日かなにかあったのだろうか。
「言われれば何かあったような気もしますが…」
御国先輩はそれを聞いて、ブフッと吹き出した。
今の発言の何が面白かったんだろう。
とりあえず分かるのは、この人がうざったいということだけだ。
「うわーほんとに知らないんだねーww 今日はね、十五夜なんだよ!ってことでお月見しようよ修平!」
言われて思い出す。
そういえば朝、テレビでそんなことを言っていた。
しかも、普段より月が大きく見れるらしい。
…だからって俺はお月見するような暇人ではないのだが。
「嫌です。そんなの一人で勝手にやっててください。俺は貴方ほど暇じゃないんです。」
「えーひどいなー、せっかくお菓子沢山持ってきたのになー……」
しゅん、と下を向く。
…どうせそうすれば俺が構うのを分かっててやっているんだろう。
「はぁ……仕方ないですね。少しだけなら付き合ってあげても良いですよ。ただし、終わったらすぐに帰ってください。」