あぶでか

□あぶでか
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「俺に感謝しろよな、タカ」
俺のため息混じりの声に、タカは軽く肩をすくめた。
俺の相棒は、俺があと一歩犯人の銃を構えた腕を撃ち抜くのが遅かったら、危うく殺人犯になっていた。
「……そうだな。サンキュ」
ダンディに微笑みながら手に持った銃を胸ポケットに仕舞い込んで。
俺の肩をポンと叩いて、タカはさっさと歩き出す。
後に続こうとした瞬間膝から力が抜けそうになって、タカにバレないように深呼吸してから歩き出した。

犯人達に手錠をかけてナカさん達に引き渡して、運転席へと乗り込む。
助手席に座り自然な仕草で自分の銃の手入れを始めたタカを、横目でジロリと睨んだ。

銀星会相手だと途端に理性を無くすタカは、時に敵の命も自分の命も簡単に手放しそうになる。
毎回、事が済んだ後にはケロッとしてるから、犯人を威嚇する為の行動なんだろうとは思うが、これだけ付き合いの長い俺でも、そういう時のタカの内心は読み取れない。
さっきタカは俺に礼を言った。
多分、自分で感情の整理がつかないままに、本気で犯人を撃ち殺す気だったんだろう。

「間に合って良かった……」
ポソリと呟いた俺の声は、タカには聞こえなかったらしい。
タカはタバコをふかしながら、ぼんやりとハマの街を眺めていた。


「ユージ、飯おごるよ」
「……風邪でもひいた?」
「いらねぇんなら帰るぞ」
「いるいる!

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