空を自由に飛べ
□空を自由に飛べ9
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「ありがとうございます」
日向が元に戻ったのを見た大地は名前に近付き礼を言う。
「緊張というのは私達にとって離れがたきものだからね。一朝一夕に慣れろとは言わないけれども少しずつ改善されていければいいね」
「そうですね」
「なんか懐かしいな、私も最初は緊張したよ」
「え、苗字さんでも緊張ってするんですか?」
「当たり前だ、人を化物みたいに言わないでくれ。上下関係のあり方を知り、それでもそんなもの関係ないかのように上級生の中に放り込まれての試合だったからな、緊張しないなんてほうが難しかったよ」
それは名前がまだ中学生の頃の話だった。
自分の中で上下関係があやふやだったというのに上級生だらけのレギュラー入りは肩身が狭い思いをした。
「ま、最悪回数をこなしていけば慣れていくさ」
「ははっ、そうですね」
と。
名前と大地が話し終えると同時に、マネージャーである清水が日向の肩を叩き、
「期待してる」
と言った。
その一言で日向の緊張が一気に元に戻ったのを見た名前はそんな二人の姿を見たまま大地に言う。
「……おい」
「……ごめんなさい」