空を自由に飛べ
□空を自由に飛べ4
1ページ/4ページ
(感覚を――研ぎ澄ませ。ボール・ブロッカー・スパイカー、あらゆる動きを見逃すな。完璧なタイミングで日向の最高打点を、捉える!)
一度決まってから彼らのスパイクとトスは決まっていく。
そしてそのトスがすごい勢いで精度が上がっているのがよくわかる。
(なるほど、セッターの本領発揮ということかな。そしてそれを引き出したのはあのスパイカー)
名前の視線の先にはまたスパイクが決まって喜んでいる少年。右手を見つめ、汗をかきながらも喜んでいる少年は輝いて見えた。
「そう何本も抜かせるかよ!」
今まで冷静にゲームをこなしていた金髪の少年が初めて声を荒げた。スパイカーの前に壁を作るが、しかしボールは坊主の少年へと上がった。
「いらっしゃああああいっ!」
ブロックがオレンジ髪の少年に付いてしまったから坊主の彼はフリーにブロックが打てた。そして一セット目を先取した。
「おお、なかなか強烈」
「どうだおらああぁぁ! 月島こらああ! 俺と日向潰すっつったろうがああ! やってみろやおらああ!」
「そーだそーだ! みろやおらぁ!」
左手の中指を立て、その他の指を折り曲げて月島という少年に向ける。その後ろで日向と呼ばれたオレンジ髪の少年が真似をする。
「なんでお前が一番威張ってんの、田中ー」
「あ、え?」
まさかコートの外から野次が飛んでくるとは思いもしなかった田中と呼ばれた坊主は戸惑う。
「そーだ! 一年のお陰で打ててるくせにー」
「態度でかいぞー」
「ハゲー」
「今普通に悪口混ぜたの誰だゴラァ!」
「ははっ、愉快なチームメイト達だな」
「て、そこの素敵なお姉さまはどなた!?」
ベンチに座っている名前に気付いた田中はずささささささっ! と音が付きそうなくらい下がっていく。
ようやっとコートにいる部員にも名前の存在に気付いたのだった。