空を自由に飛べ
□空を自由に飛べ
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「あっつー」
苗字名前は全開にした車の窓枠に右腕を乗せ、一人呟いた。
「まだ四月だってのになんだよ、この暑さは」
額にはうっすらと汗が滲んでいた。
「ったく、あのじいさんも人使い荒いってーの」
ルームミラーから見える後部座席には二つの段ボール。一つは名前の実家が経営している店の名前、そしてもう一つには全く関係ない店の名前が印刷されていた。
「あたしは運送屋じゃないんだけどなー」
しかしそんなことを言っても今の状況が変わるわけではない。
「はあ……」
溜め息を吐きながらも車を動かし、この二つの商品を待っているであろう場所へと向かう。
かつて自分の母校である烏野高校に――