最強を目指して
□最強を目指して4
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悲鳴が聞こえた場所まで進んだナマエが見たのは、二人の人間と一匹のポケモンだった。
金髪碧眼に左に髪を結わえている小さな女の子とそんな少女より一回り大きな少年がポケモンを連れ対峙している。
よく見ると少女は目に涙を溜めていた。
「なにしてるの」
「なんだよお前は」
「質問してるのはこっちなんだけど」
「なあに、ただこんな小さな子がこんなところにいたら危ないって話をしていただけさ」
「それが本当ならさっきの悲鳴の説明にならないよね? きみって馬鹿なの?」
「なっ!?」
「お姉さん! この人ミアレシティで有名な悪い人なの! 生半可の人じゃ敵わないよ! ユリーカのことは気にしなくていいから早く逃げて!」
「…………………」
どうやらこの少女の名前は『ユリーカ』というらしい。
こんな少女にそんなことを言われて、もちろん逃げるわけ訳なく、ナマエは一歩前に出る。
『生半可の人じゃ敵わない』と言われたことが一番癪に障ったのかもしれない。
「お姉さん!」
そんなナマエにユリーカは驚きの声を上げるが、そんなことを気にすることなくナマエはユリーカの前に立つ。
「なるほど、きみはいわゆる不良という奴なんだね」
「だったらなんだよ、逃げるなら今のうちだぜ?」
「ん? きみは私の今の行動がどういうことかわからなかったのかい?」
ナマエは右腕を地面と平行になるまで持ち上げた。するとナマエの意図を読んだのか何も言わずにネイティはナマエの右腕の上に移動する。
「こんな小さくていたいけな少女を狙う強情で矮小なきみに――躾の時間と行こうか」
「! 言わせておけば……! 行け、ヤンチャム!」
「ヤンチャッ!」
どうやらそのポケモンはヤンチャムというらしい。見たことのないポケモンに好奇心を持っていかれそうになるが、そこはぐっとこらえポケモンに罪はないことはわかっているが彼がトレーナーなら仕方ない、とナマエはネイティに指示を出す。
ただ一言。
「ネイティ、サイコキネシス」
「トゥー」
この地方に来たばかりのナマエはヤンチャムのことをほとんど知らない――今初めてみたばかりなのだが、どうやら相性が良かったのか一撃で倒れた。
「ヤンチャム!」
トレーナーの少年が何もできず倒れたヤンチャムを見て困惑する。
「さて、まだやるかい? 私は一向に構わないが、私のネイティにそう簡単に勝てると思うなよ」
「ひっ……!」
少年は答えることなくモンスターボールにヤンチャムを戻し、「覚えてろよー!」とどこか悪役(しかもかなりの下っ端の方)のように去っていった。