同じ世界を視る者

□同じ世界を視る者
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小さなころから変なものを見ていた。

いや、《視て》いた、のほうが正しいのかもしれない。

他の人にはまったく見えず、彼にだけ見えた。

他人に話しても嘘だと信じてもらえなかった。

信じてもらえずとも、『それ』はそこにいた。

気づいたらそこにいたし、最初からいた。

不思議で。

怪しくて――異なっていた。

人はそれを――妖というらしい。
 

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