最強を目指して
□最強を目指して4
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プラターヌ博士の研究所から離れ、ミアレシティの町を歩くナマエ。
さすがカロス地方一の大都会と言うだけあって、きれいに整備された石畳の通りに西洋風の建物が連なるという美しい街並みを持つミアレシティは観光客で街を賑わせていた。
「そうだ」
「トゥ?」
「路地裏に行ってみよっか、ネイティ」
「トゥ!」
ミアレシティにもジムはあるのだが、規定の個数のバッジを持っていないと挑戦を受けてくれない、とポケモンセンターのジョーイさんに言われたナマエは滅多にない路地裏に興味を持った。
規定のバッジを持っていないと挑戦を受けないなんてどこかのジムと似ているな、と思ったのは秘密である。
観光名所などはジム戦に来たときでいいだろう、と。
建物と建物の間にあるほんの少しだけある間。
ナマエは躊躇することなくそこに足を踏み入れる。
観光客が滅多に入らない路地裏はほとんど舗装されていなく、レンガ造りの道にその隙間から少しだけ姿を見せる草。周りの建物が背が高いせいもありほとんど日差しが入らなく、日中だというのに少し薄暗く感じる。
建物と建物の間から派生する穏やかな風がナマエの頬を掠める。
「うわあ……」
ジョウト地方では目にすることのなかった光景にナマエは感嘆の声を漏らす。
ジョウトにも都会と言われるところはあるのだが、こんな路地裏が存在する街はなかったため、とても貴重な体験をしているようだった。
「迷子にならないようにしないとね」
「トゥートゥー!」
ミアレシティはあまりにも広大なため街はストリート、アベニュー、広場といくつものエリアに分かれており、そのエリアごとに数多くの施設が点在している。この路地裏もそのひとつである。観光客や初めて来た人間は迷うこと間違いなしである。
まあ、最悪ネイティにテレポートでもしてもらえばいいや、と軽い気持ちがなかったといえば嘘になる。
「きゃあああああぁぁぁぁああああ!」
と。
風の音と鳥ポケモンの声だけで満たされていた路地裏に似合わない(状況だけ見ればある意味似合っているのかもしれないが)少女の悲鳴が響いた。
「! どうしたんだろう」
「トゥー!」
「うん、行ってみよう」
ゆっくりと歩いていた足を悲鳴が聞こえた方へスピードを上げて進む。