蓮和物語

□第4話
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「……この……たわけが……ッ」

膝から崩れ落ち、苦しそうに荒い息を吐く。

「…この…たわけが…ッ。貴様の力では適わんという事は先刻承知済だろう…!それとも自分の魂でさえくれてやれば全て済むと思ったか…どちらにしろたわけだ…!」

「……悪かった……────俺はただ……」

「気にするな……と言いたいところだが…残念ながら今の私も、朝陽も奴とは戦えそうにもない……」

一護は少し前に虚に吹き飛ばされた朝陽を見た。頭を強く撃ったからか、地面にグッタリと倒れて動く気配すらない。

「このままでは全員…奴のエサになるのを待つばかりだ………」

「(────俺のせいだ…─!みんな死んじまう…!)」

何とも言えない悔しさに、拳を握り締める一護。

「…家族を助けたいか…?」

「!!あるのか!?助ける方法が!?教えてくれ!!」

「1つだけある…いや正確には…1つしかないと言うべきか…」

痛む体を無理矢理動かし、ルキアは半身身を起こす。

そして一護の目の前に斬魄刀を突き出した。

「貴様が………死神になるのだ!!」

「!!な………な…何言ってんだ…そんなことが…」

「できる!貴様がこの斬魄刀を胸の中心に突き立て…そこに私が死神の力を半分注ぎ込むのだ!そうすれば貴様は一時的に死神の力を得…奴とも互角に戦えるはずだ!」

「そんなことして本当に…大丈夫なのか…?」

「…わからん。もちろん貴様の霊的資質の高さを見込んでの計画だが…成功率は高くはないし…失敗すれば死ぬ…!!だが他に方法は無いのだ!!迷っている暇もな。」

どうしよう。家族は助けたい。でも、成功可能性は低いという作戦。失敗すれば死。強ばる体に、早くなった鼓動が耳まで届いた。

そんな時、

「…おにいちゃん…」

「!!」

大切な妹の声に振り返れば、彼女は意識を失ったまま寝言を呟く。

「どこ……?…おにいちゃん」

「…遊子…怖い夢でも見てるのか…」

「来ちゃだめ…危ないよ……早く逃げて……………おにいちゃん……」

「(───ちくしょう…!どうしてウチの連中はどいつもこいつも…自分が死にかけてる時に俺の心配なんかしてんだよ…!…自分の事でビビってる俺が……)」

一護は拳を握った。

「(───バカみたいじゃねぇかよ!!)」

覚悟を決めて。

「刀をよこせ、死神!テメーのアイデアにのってやろうじゃねぇか!」

ルキアは微笑んで一護を見上げた。

「”死神”ではない。”朽木ルキア”だ。」

「そうか……俺は黒崎一護だ。お互い、最後のアイサツにならないことを…祈ろうぜ」


ブオオオオオ


近付いてくる虚。ルキアはゆっくりと立ちたがって一護に刀を向ける。

「『虚』が来るな…」

「急がないと…」

一護は向けられた斬魄刀に手を添えた。

「……行くぞ。」

「……ああ。」

ドクンドクン。と激しい鼓動が聞こえてくる。

一護の体を斬魄刀が貫いたその瞬間、2人を中心に眩しすぎる光が放たれた。

「!?」

虚の動きが一瞬止まった時、ゆらりと見えた影がそれの腕を斬り落とした。

立っていたのは死覇装に身を包み、身の丈程の大刀を持った一護の姿。

力を移し、死覇装では無く白い着物を身につけたルキアは驚愕した。

「バカな…半分のつもりが…全ての力を奪い取られてしまった……(しかもこの感覚は──……あの時の…)」


「連中の気配を全く感じなくなってしまったのだ…」


「フィルターがかかったように聞こえる…」


「これに今まで気付かなかったとは!!」


「まるで何か大きな力に感覚を阻害されているような──」



「(あれはこいつだったのだ!!あの部屋には、こいつから発せられる霊圧が満ちていた…それが私の感覚をことごとく混乱させていたのだ…!死神が見える人間など見たことがない!鬼道を破る人間など見たことがない!個々の霊力に呼応して形を変える斬魄刀が──…あんなにも巨大になったところも見たことがない!!)」

一護はその斬魄刀で虚の片足も斬り落とす。

「ウチの連中に手ェ上げた罪を思い知れ、サカナ面!!」

「(こいつは本当に一体──…)」

大口を開けて襲い掛かってくる虚の仮面を見事に両断して見せた。

「(───何者なのだ……?)」














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