蓮和物語

□第2話
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由衣と朝陽は一番隊舎へ、美衣奈と湊も流魂街の見回り兼虚伐採へと出掛けた隊舎は珍しく静かで、外の音がよく聞こえる。

風の音、鳥の鳴き声、そして…

「おいおい、大丈夫かよ」

「知らねーよ!俺も初めて来たんだ!蓮和隊の隊舎なんてよ!」

書類を抱えた男死神2人の声に、隊舎に残って仕事をしていた護は大きく溜息をはいた。

「隊長も隊員もみんなみんな戦闘狂で、昔は大罪を犯した死刑囚だったらしい。そんな奴等を見張る為に作られた隊…だから付いたあだ名が『化物の監獄』。そんな恐ろしい奴等の所に書類を持って行けって…あの7席さんはよォ…」

項垂れる1人の男の肩にポンッと手を置くもう1人。

「仕方ねェさ。俺等みたいな新人に任せときゃ、自分は関わらねーで済むからな。要するに早く出世しろって事だよ」

「それならさっさと出世して、こんな『化物の監獄』なんかとは無縁になりたいね!」

「何と無縁になりたいって?」

突然の第三者の声に振り向いた2人は悲鳴を上げた。

「「ひぃ!!」」

そこに立っていたのは、腕を組んで冷たい目で彼等を睨む美衣奈。

「何の用?」

「さ、三番隊からの…」

「…書類を持ってきました…」

「わざわざご苦労な事で」

湊は2人から強引に書類を奪い取ると、未だに突っ立ったままの彼等に吐き捨てる様に言い放つ。

「…私達と無縁になりたいなら、さっさと帰れば?」

「「はっ、はい!!…失礼しましたっ!!」」

そう言うと慌てて、逃去る様に帰って行く2人。

「「!」」

丁度一番隊舎から帰ってきた由衣と朝陽は、そんな彼等とすれ違う。

「またかよー」

「…うるさい」

と小さく呟くと、そっぽを向いて隊舎に戻る足を進める湊。

「…変な奴」

らしくない彼女の行動に、朝陽は首を傾げた。

そして美衣奈は目の前を通り過ぎようとする彼女に、ポツリと呟く様に言う。

「素直になれ」

「うるさい、蓮和隊(ミンナ)の悪口を言われるのが許せないなんて…恥ずかしくて言えるわけないじゃない」


















いつ誰に流されたかも分からない噂を、鵜呑みにして信じ、自分達を蔑む者達。

もし、その対象が自分だけなら「哀れだな」なんて思っていただろう。

しかし、その対象は大切な人達。

だから”許せない”んだ。










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