蓮和物語

□第10話
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尸魂界に着いた一行。
取り敢えずルキアは六番隊舎牢に入れられた。
朽木は清水と由衣を連れて山本元柳斎総隊長に報告へ向かい、一番隊舎内では清水と由衣は別室で待機と言う形になった。

広い畳の部屋にちゃぶ台が1つ。
向かい合うように座った清水と由衣。

『あたしも牢屋?』

「それは無いんじゃあないかな?
なんせ尸魂界は君の事を探していたんだ」

『尸魂界があたしの事を探してた?君達があたしを追い出したのに?』

「前にも言ったじゃないか、あれはわざとじゃないって」

『…………』

沈黙に包まれる部屋。
少ししてパタパタと足音が聞こえ、それはこちらに向かってくる。
ガラッと部屋の襖が開いて年季の入った男性死神が声を出した。

「清水三席、日番谷由衣殿。総隊長殿がお呼びです」

「わかった」

清水と由衣は男性死神の後を付いて歩いた。

──ねぇ一護……君はちゃんと生きてる?あたしはこれからが勝負みたいなんだ……──









「入れ」

総隊長の威厳のある声で開かれる扉。
中では重苦しい雰囲気で朽木と総隊長が待っていた。

「清水三席ご苦労じゃったな下がって良いぞ」

「はっ」

##NAME6##は一礼すると踵を返し帰っていった。
つまり現在この部屋には朽木と総隊長と由衣の3人。彼女にとっては敵に囲まれたも同然だ。

「お主の処分の決定権が儂に降りてきておる
そこで朽木隊長と話し合った結果お主を隊長に任命する」

『……は?』

唖然とする由衣に総隊長は静かに淡々と告げる。

「お主は現世にて六番隊副隊長を圧倒したとのこと……尸魂界(コチラ)側も放っておく訳にはいかぬ」

『嫌だ……隊長なんか……やりたくない』

「やりたくないと言うならば……黒崎家といったかの?お主の為に消える事になるぞ」

『!?』

──今何て言った?「黒崎家が消える」?義父さんが?遊子が?夏梨が?一護が?──

「それでも良いと言うなら好きにするがいい」

突きつけられた二択問題。隊長になるか、家族が殺されるか。
そんなの考える迄もなかった。

『あたしが隊長になったら……家族は助かるってこと?』

「そうじゃ」

『わかった』

「お主にはこの隊を率いて貰う」

渡された2枚の紙。
それぞれ違う2人の写真が貼られている。
紙をじっと見詰める由衣の耳に朽木の冷たい声が入った。

「その隊の副隊長に五番隊清水三席を任命する」

「明日の隊首会にてお主の事を発表する予定じゃ
朽木隊長、隊舎まで案内してやれ。
清水三席については儂から報告しよう」

「はい……」

由衣は歩き出した朽木の後ろについて歩いた。









連れてこられた所は隊舎というよりお化け屋敷。
部屋の隅には蜘蛛の巣が張られ、埃が舞っている。

──ある角を曲がるとそこに君達はいた──

『君達が……京極さんと櫻井さん?』

──知らない奴がやって来た──

「誰よ……あんた」

「俺達の処刑人か?」

鉄格子もなにもない。ただの壁から伸びる鎖に繋がれた女と男。
引きちぎろうとしたのか、枷がしてある手足は赤黒い痣になっていた。

『違う。君達の隊長になるんだ』

「隊長?」

「ふん……護廷十三隊に殺される私達に護廷十三隊をやれっての?馬鹿馬鹿しい」

『君達は護廷十三隊が嫌い?』

「当たり前じゃない」

『なら護廷十三隊を背負わなくていいからあたしの名前を背負って』

「何よ偉そうに……殺すなら殺しなさいよ」

2人の瞳の奥で何かが光った気がした。

──ほんとに死にたい?違うんじゃないかな?だって……──

『君達の目、「死にたくない」って「生きたい」って言ってる』

「……何も知らないくせに」

先程までの勢いで勢いのある発言が急に弱々しくなった。

『うん。知らない
けど君達が護廷十三隊が嫌いな事は知ってる』

「…………」

『だから一緒に護廷十三隊に背こう』

──何を言ってるの?……あんた仮にも隊長でしょう?──

わからなかった。隊長とは思えない発言、何を考えているのかわからない表情。
でも一つだけわかる事があった。
由衣が本気で護廷十三隊に背こうとしている事。

──だからついていけるかもしれない──

2人の死神は真っ直ぐに由衣の翡翠色の瞳を見据えた。

「……よろしく……隊長」

「…………よろしく」

一番初めは現世にいる家族を助けたかったから、でも今この瞬間は違った……。

「よかったよかった」

3人のやり取りを影から見ていた清水は穏やかに笑って彼等の元へ歩き出した。












『と、言う訳でこれから蓮和隊の隊長をする事になりました。風浦由衣です』

ニコニコと幸せそうに自己紹介をする由衣。

「副隊長の清水##NAME6##です」

律儀にお辞儀をする##NAME6##。

「第三席の京極##NAME7##……です」

##NAME6##に突かれ語尾に「です」と小さく付ける##NAME7##。

「第四席櫻井##NAME8##」

必要事項のみをぶっきらぼうに言い捨てる##NAME8##。

「隊員の……に、西島湊です!」

大きな声で声を裏返しながら挨拶する湊。






蓮和隊

隊長─風浦由衣
副隊長─清水##NAME6##
第三席─京極##NAME7##
第四席─櫻井##NAME8##
隊員─西島湊

隊花─ガーベラ
花言葉─「常に前進」「希望」




蓮和隊結成












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