蓮和物語

□第3話
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「本当だってば!!ホントに部屋に横綱が来て鉄砲で壁に穴開けたの!!」

織姫の熱弁を聞いたクラスメイト達は何とも言えない顔をしていた。

「まーーーた、あんたはそういう事を……」

「ほんとだって!ね!竜貴ちゃん!」

「あ……う……うん」

自分でも信じ難いが今回は織姫の意見が間違っていると否定できない。

その女子トークを聞いていたのは真実を知っている3人。

「なるほど、こう言う事か」

『あーゆこと織姫だったらふつーだけど竜貴が言うと変な感がする』

「うむ!」

誇らし気に頷くルキア。

『こないだ家でも使ってた?』

「ああ使った使った。な?よく効いてただろう?」

今度は由衣が頷く番。
あの記憶置換にノって楽しかった。

「しっかしまー綺麗に傷が塞がるもんだよな」

『うん。もうつるつるのテカテカだ』

一護の昨日できた額の傷があった場所を撫でたり叩いたりしてみると、鬱陶しいとでもいうように手を払われた。
普通に出来た傷でもこんなに早く治るわけがない。

『ルキアすごい!』

褒められたルキアは胸を張った。

「今更驚いたか。当然だ、私の鬼道の成績はトップクラスだったからな。その程度の傷の治療等朝飯前だ」

「……成績?何だ?死神って学校があるのか?」

一護の疑問はルキアの疑問によってなかった事にされる。

「それより由衣、一護……これはどうやって飲むのだ?」

手に持っていた紙パックのジュースを突きつけるようにして飲み方を尋ねる。

「あ?どうやってってストロー差してに決まってんだろ」

「ストロー?」

『そうそう』

2人の抽象的な説明ではわからなかったルキアは、具体的に聞くため口を開きかけたが、邪魔が入った。

「あれぇ!?また一緒にいる君達随分仲いいんだね」

声を掛けてきたのはお弁当を持った水色。
一護の隣に腰を下ろした。

『うん!』

「アホ!これが仲いい様に見えるか?」

嬉しそうに頷く由衣とは反対に否定する一護。

『ええっ!?違うんだ!!?』

否定の言葉にショックを受け、頬を膨らます。

「どっちなの?まぁ、どっちてもいいけどさ。なんていうか一護、もうちょっと周りの目を気にした方がいいよ?ちなみに由衣も」

「アホか。そんなもん気にしてたらとっくに髪の毛黒く染めてんだろ」

『そうそう。髪は黒く染めて、目は黒いカラコン入れるさ』

そういいながら一護のオレンジの髪の毛をポンポンと叩く。
再び鬱陶しいとでも言うように手を払う。

その光景を見て少し微笑んだ水色は由衣に聞こえない様な大きさで話す。

「それだけじゃないよ。一護は」

「どういう事だよ」

「由衣と何時も一緒だからね」

「いーじゃねぇか双子なんだし」

「……まぁいいや」

丁度その時由衣はルキアと話していた。話題は紙パックについて。

『飲めないんだ、ルキア』

「た!たわけ!忘れただけだ!!」

恥ずかしそうに紙パックを引っ込める。
それを奪い取ってニヤッと悪戯に笑う。

『これをこの丸い所に差して、これを咥えてちゅーって吸うのさ。そしたら飲めるんだ』

具体的に説明した後にストローを差して飲めるようにしてからルキアに渡してやる。

「なるほど!」

言われた通りに飲もうとするが、馴れないストローは少しコツがいるらしい。

「こんにちは、朽木さん!」

突然声を掛けてきたのは水色。
いつの間にか一護と話を辞め、ルキアに話しかけてきた様。

「こんにちは、えっと……小島くん……?」

由衣達に話すような言葉遣いからクラス用の言葉遣いに切り替える。
それはリモコンで操作されているような見事な切り替わり方だ。

「まだちゃんと自己紹介してないのに憶えてくれたんだね。小島水色15歳!趣味は……」

「女あさりだ」

一護は水色の言葉を遮った。

「こんな顔してもんのすごいタラシだぞ、気をつけろ」

「やめてよ!イメージ悪くなるじゃないか。僕は年上の女性にしか興味ないの!同年代の女の子にとっては安全な子なんだからね!」

「だから気を付けろって言ったんだろ」

一護達の10倍程生きているらしいルキアは水色の射程範囲である。
尸魂界の死神であった由衣も彼の射程範囲なのかといろいろと考えてしまう一護だった。

「おーす、一緒していいっすかー」

「おーー、啓吾」

輪の中に入って来たのは牛乳と焼きそばパンを持ってきた啓吾。

「あれ?チャド来てねーの?」

「イヤ?」

『まだ、いない』

啓吾は輪全体を見回すとある1人の人物で瞳を動かすのを止めた。

「ややっ!そこにあるのは美少女転校生の朽木さん!!どうしてここに」

「一護が口説き落として連れて来たんだよ」

「バッ……ちが……」

「何ィ!?一護てめぇ!!グッジョブ!!」

「お……おう……泣く程嬉しいか……」

泣きながら片手で一護の肩に手を置き、もう片方の手で親指を立てた。
そんな彼に一護は冷たい瞳を見せた。

ジュースと奮闘しながら紙パックの話題で盛り上がっていたのに、辺りが騒がしくなったので顔を上げたルキアと由衣。

「こんにちは、えっーと……」

「初めまして、浅野ッス!!
このムサ苦しい男の園へようこそ!!」

『え!?今あたしの事も「ムサ苦しい男」扱いした!?』

「いいじゃねえかよ!
お前井上さんとか有沢とかと仲良いくせにだいたい俺等といるし!」

『そんなのあたしの勝手じゃないか!!』

「出た!マイペース!」

『うわっ!!自由人っていいたいんだ!?』

「いいじゃねぇかっ!!
これでもオブラードに包んだんだぞ!」

『啓吾のバーカバーカ!!』

「んなぁああっ!!
由衣のバカッ!!チビ!!」

『ひどい!!そーやって人が気にしてる事をはっきり言わなくてもいいじゃないか!!』

戸惑うルキアをそっちのけに啓吾と由衣の言い合いが始まる。

「いつもなのか?」

「いや……いつもってゆーか由衣だとだいたい誰でもあーなるってゆーか……」

「……そうか」

「さあっ!!気を取り直して今日の昼飯はパーティーだぞ!!」

「コーヒー牛乳と焼きそばパンで?」

『イエーイ!パーティー!!
え!!待って!地味じゃないかな?』

「うるせェ!それを気にしないのが由衣だろうが!!」

『うん!!』

呆れた様子で言い合いを眺めていると今度はコーヒー牛乳とジュースを片手に乾杯し始める啓吾と由衣。

「……これもか?」

「そうなるな」

更に上へ上へとテンションが上がっていく2人に水色も含め全員が呆れている中、啓吾は背後からいきなり蹴り付けられた。

「っ痛ーな!!なにす……る……」

後ろを振り返った啓吾は固まってしまった。

「よー、黒崎兄妹」

「お……っ、大島……!停学解けたのか……」

「オメーにゃ話してねーよ」

声を掛けてきたのは柄の悪いヒヨコヘッドの馬面の男子生徒。正真正銘のヤンキーだ。
啓吾を押しのけた大島が上から座っている一護と由衣が下からの睨み合いが始まる。

「黒崎兄妹オメーらいつになったら頭染めて来んだよ。頭染めてて垂れ目って俺とキャラモロ被りなんだよテメーら」

「ウルセーなこれは地毛だって何回言わせんだよ。てゆーかキャラも被ってねえし」

『そうだ!地毛だしあたしは垂れ目じゃないさ!
ヒヨコヘッド君のオススメ調べてあげようか?』

「ヒヨ……っ!てめぇら……」

怒りモードの大島と不機嫌全開の黒崎兄妹の間に啓吾が入る。
しかしこの行動は無駄に終わってしまう。












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