マギ

□第三夜
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──アラジンが謎の笛を吹いた!──


突然現れたウーゴくんを蛇だと勘違いし、人々は悲鳴をあげながら逃げ回る。

「うわーーっ!蛇だーーっ!??」

だが、アリババはその中で1人逃げること無く、じっとそれを見詰めていた。

「……(違う…蛇なんかじゃねぇ…あれは伝説の…!?「ジンの金属器」!!まさか、こんなチャンスに巡り合うとは………なんとしても、俺の目標のために、まずはこいつを味方につけてみせるぜ!!)」












ここはオアシス都市チーシャン。

賑わう市場をアラジン、リム、アリババの3人は焼き鳥を食べながら歩いていた。向かう先はアリババの家。

因みに、リムは市場から漂う美味しそうな食べ物の匂いで、何事も無かったかの様に目を覚ましたのである。

「いやー、助かったよ、おにいさんが泊めてくれるなんて!ねぇ、リム!」

『うん、そうだね!ありがとう!!』

「当たり前だろ〜〜」

「命をかけて、同じ敵と戦ったんだ、もてなさせてくれよ。もう、友だいだろっ?アラジン!リム!」

友だち。その言葉にアラジンとリムは頬を赤く染め、頷く。

「『うんっ!』」











「『わ〜〜』」

アリババの家に着くと、アラジンとリムははしゃぎながら家の中へと入って行く。

「僕、友だちのおうちって、はじめてだよ。」

『あたしも!』

「そうか?まぁ座れよ、茶でも淹れっからよ。」

「『ありがとう!』」

「今買ってきたリンゴも切ってやっからな?」

『わ〜〜〜!』

「おいしそうだねぇ!フフフ…」

アリババは切った林檎を皿に乗せ、お茶と共に2人の目の前に出す。

「ウーゴくんもたべる?」

アラジンは早速その林檎に手を伸ばし、ウーゴくんに声を掛けるが、リムは黙って正座をしたまま食べようとしない。

「あれ?リムはリンゴ食わねぇの?もしかして嫌いか?」

でも、馬車の中では食いたそうにしてたよな…。なんて考えていると、リムは口を開いた。

『あたし、お金ないんだ…』

残念そうにしゅんとするリム。アリババは思い出した。

「(そうえば、俺が、こいつ等に金がないからリンゴは食べられねぇって言ったんだった)」

アラジンに比べてリムの方が真面目だな。そう思いながら、林檎を手に取って彼女に差し出す。

「金なんていらねぇよ!俺達、もう友だちだからな!」

そう言うとリムは、ぱぁっと笑顔になって林檎を受け取った。

『ありがとう!』

アリババはもぐもぐと林檎を頬張るリムから、アラジンに視線を移した。

「……ところでよー、アラジン。俺、聞きてーことあるんだけどさー…………」

「なんだい?」

「その笛って………何?」

興味津々で詰め寄って来たアリババ。

「こ…これかい?ただの…笛だけど…」

「中だよ中身!なんかドバーッと、出てきたじゃねーか!」

「あ、ああ、ウーゴくんのことかい?彼は僕の友だちさ!まぁ、おにいさんたちは「ジン」って呼んでるみたいだけどね…」

「(やっぱりっ!)で、どこで拾ったんだ?やっぱ「迷宮」か?」

「ダ、ダンジョン?」

「昨日、説明したじゃねーか!リムは覚えてるだろ!?」

『…さ、さぁ?何の事だったかな?』

「お前もかよー!!」

迷宮についての説明を覚えていない2人に頭を抱えたアリババは、もう1度簡単に説明する。

「「迷宮」ってのはな、謎の遺跡群でお宝がザクザク眠ってるんだぜ!不思議な力を持つ宝は特に貴重で、レームやパルテビアなんつう大国も、国をあげて探索するほどなんだ。そして、そのお宝の最高峰が…「ジンの金属器」ってわけよ。」

”ジンの金属器”その単語にピクッと反応したアラジンとリムは、顔を見合わせて声を出した。

「『それだよ、それ!!』」

「おお?」

『あたし達は、その「ジンの金属器」を探していたところなんだよ!』

「え?でも、お前それ……もう、アラジンが持ってるじゃん……」

アラジンは首を横に振った。

「これは違うよ。「迷宮」じゃなくて、部屋から出た時に拾ったものだから。」

「?部屋?」

「うん。というのも、僕とウーゴくゆは…昔からずっと「地下のがんじょうな部屋」にいたんだ。外へは出られなかったけど、ちょっと前にやっと外に出られてね。でも、ウーゴくんは首から上は出られなかったんだ…」

「………?」

突然、迷宮に興味を持ち始め、よく分からない話をされ、少し困惑を見せるアリババだが、アラジンは話を続ける。

「ねぇ、「迷宮」に「ジンの金属器」があるんだよね!?」

そしてアラジンは立ち上がった。

「……?」

「じゃあさ!」

「お、おお…」

「僕達を、そこへ案内しておくれよ!」

「(なんだ?いったいなんなんだこいつは……!?)」

呆然とアラジンを見上げるアリババ。

静かになったその場に、突如響くドアを強くノック音。


ドンドンドンッ!!


まさか、ブーデルか…。と思わず肩を震わせたアリババだが、よく知った声が聞こえた。

「アリババ!!」

「やべえ、社長だ!」

「『しゃちょう?』」

「俺のバイト先の荷車チームの経営主だよ…」

「『へーー』」

”社長“の説明をしながら家のドアを開けると、その人物は入って来た。

「アリババ!お前、なんてことしてくれたんだ!」

入ってくるなりそう言った社長は相当焦っているようだった。

「ブーデル様のブドウ酒をパアにしたそうじゃないか!先方は、弁償代金1000金貨(ディナール)って言ってきてるぞ!」

「エヘヘ…いやぁ、そのことですが…後で相談しようと思ってたんですけど…」

「お…おい…笑ってる場合じゃねぇぞ……」

ヘラヘラと笑うアリババに、社長は告げる。

「…お前…奴隷にされるぞ。」

「ど、奴隷?」

「ブドウ酒の納品先はな…かの悪名高いこの町の領主だったんだよ。奴は、奴隷をいたぶり苦しめて楽しむ変態野郎なんだ…あいつを怒らせたらただじゃすまねぇよ…!!うちの会社もどうなるか〜!」

社長は膝を折って床に座り込んで頭を抱えた。

「大丈夫です、社長。奴隷になんかさせません。」

そんな彼にアリババは手を差し伸べて、自信に満ちた表情で言い切る。

「俺、「迷宮攻略」で成功して、弁償代金払いますから!」

「はぁ!?」

「おい、アラジン、リム、お前等、さっき「迷宮攻略」行きたいって言ったよな。」

「う、うん…」

「連れてってやるよ!その代わりにお前のジンを、社長に見せてやってくれ!」

「……うん!」

力強く頷いたアラジンは、増えに息を吹き込んだ。

「……!?」

刹那、笛からムクムクと出てきたそれは、アリババの家の屋根を破壊した。

「社長……こいつ等の名は…アラジンとリムです…彼は、偉大なる大魔術師で、彼女は武術の達人。そして……」

──偶然の出会いかに見えた3人は今、目的を1つにし…──

「そして俺の…1番のーーーっ………」

──ついに心もひとつに───!?──

「家来だ!!」

────するはずだった。──












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