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□絆の日
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まだ寒い昼下がりの休日。
仕事が忙しい真島さんと、部屋でのんびりと過ごせるのも本当に久し振りで、私は愛する恋人とのかけがえのない
時間を噛み締めていた。
「ねぇ真島さん、2月27日ってなんの日か知ってます?」
「んん〜?知らんなぁ〜」
真島さんはコタツに入ってミカンを頬張りながら答えた。
「絆の日なんだって」
「なんやそれ?」
「バレンタインとホワイトデーの間で、恋人同士の絆を深める日らしいですよ。なんか語呂合わせになってるみたいですね」
「…ふぅん」
気のない返事の真島さんを見ると、余程ミカンが美味しいのか 世話しなく顎が動いている。
「あ、興味なさそう」
「あ、あるって!絆の日やろ?」
「…ふぅん」
わざと真似をしてみる。
真島さんは私が怒ってると思ったのか、コタツを出ると、私の後ろに回り込んで抱き締めてきた。
「…怒ってるやろ」
「…怒ってませんって」
「ホンマに?」
「…もう。そんなことで怒りませんよ?」
その言葉に安心したのか、私のお腹に回された真島さんの腕に、少し力が入って、さらにギュッと抱き締められた。
真島さんの煙草と香水の香りに包まれて、私は幸せな気分に浸る──
──って、ちょっと!
「……なに胸揉んでるんですか」
真島さんを見上げてギロリと睨む。
「だって恋人同士の絆を深める日なんやろ〜?」
手を止める気配はないらしい。
「そういうことじゃなくてっ」
「…絆深めるってこういうことやろが〜」
「あっ!ちょっと─!やんっ…」
真島さんの手が服の中に侵入してきて、私のお腹に手を這わす。
「……なぁ。もっと絆深めようや」
そう言って耳元で低い声で囁いた。
私が耳元弱いの知っててやってるんだから。
「…もう…真島さんの馬鹿」
そう言って甘く睨むと、
真島さんは嬉しそうに私の体をそっと押し倒した──。
27日は「きづ(2)な(7)の日!」
兄さんとコタツでぬくぬくしたい。