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君までの距離
休み時間。
ハルちゃんの姿が見えなくて、わたしは机に突っ伏していた。そのまま目を瞑っていると、頬に冷たいものを感じ目を開ける。
視界に入ったのはイチゴミルク。
とわたしを見おろすハルちゃん。
「ハルちゃん、ビックリした」
「やっと起きたか」
「寝てないよ」
「にこのぶんも買ってきた」
差し出されたジュースを受け取る。
素直にありがとうが言えなくて、わたしは小さくため息をついた。
それに気づいたハルちゃんは怪訝な顔になる。
「いらないのか」
「・・・いただきます」
もっと素直になれたらいいのに。自分の気持ちを伝えられたら、少しは意識してくれるかな。
そう思いながら紙パックにストローをさし、一口。甘くておいしい。自然と表情が緩むと、それを見ていたハルちゃんも優しい顔になった。
席に戻ったハルちゃんは何やら絵を描き始める。
真剣に紙と向かい合う様子がなんだか可愛くて、わたしは席をたった。前の席に腰かけると、顔をあげた彼と目が合う。
「ハルちゃん、さっきはありがとう」
わたしはにっこり微笑んだ。ハルちゃんは慌てて目を逸らすと、再び机に目線をおとす。
「・・・別にいい」
「ふふ。・・・それ、イワトビちゃん?」
「水泳部の勧誘ポスター、作ってるんだ」
「・・・手伝ってもいい?」
そう言うとハルちゃんは微笑んでくれた。
少しずつ、積極的になってみよう。
ハルちゃんに気づいてもらえるように。