拍手ありがとうございます!
お気軽に感想など頂けると喜びます♪
___________________________________



君までの距離



休み時間。
ハルちゃんの姿が見えなくて、わたしは机に突っ伏していた。そのまま目を瞑っていると、頬に冷たいものを感じ目を開ける。

視界に入ったのはイチゴミルク。
とわたしを見おろすハルちゃん。

「ハルちゃん、ビックリした」
「やっと起きたか」
「寝てないよ」
「にこのぶんも買ってきた」


差し出されたジュースを受け取る。
素直にありがとうが言えなくて、わたしは小さくため息をついた。
それに気づいたハルちゃんは怪訝な顔になる。


「いらないのか」
「・・・いただきます」


もっと素直になれたらいいのに。自分の気持ちを伝えられたら、少しは意識してくれるかな。
そう思いながら紙パックにストローをさし、一口。甘くておいしい。自然と表情が緩むと、それを見ていたハルちゃんも優しい顔になった。
席に戻ったハルちゃんは何やら絵を描き始める。

真剣に紙と向かい合う様子がなんだか可愛くて、わたしは席をたった。前の席に腰かけると、顔をあげた彼と目が合う。


「ハルちゃん、さっきはありがとう」


わたしはにっこり微笑んだ。ハルちゃんは慌てて目を逸らすと、再び机に目線をおとす。


「・・・別にいい」
「ふふ。・・・それ、イワトビちゃん?」
「水泳部の勧誘ポスター、作ってるんだ」
「・・・手伝ってもいい?」


そう言うとハルちゃんは微笑んでくれた。
少しずつ、積極的になってみよう。
ハルちゃんに気づいてもらえるように。






[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ