テニスコート
□7.お前の選択
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家から公園までは、意外と遠い。
太陽が照り付ける道をひた走り、
大急ぎで階段を上りきる。
目的地が見えてくると同時に、そこに人が立っているのを見とめる。
「海堂先輩、お待たせしました!」
すでに汗ばんだ額をぬぐうと、
「おせえ…」
と、鋭い視線が刺さる。
「待ってるって言ったのはお前だろうが。気ぃ抜いてんじゃねえぞ」
「すみません...」
一瞬怒ったような顔をした海堂先輩だったけど、バックからラケットを取り出すと、コートをさす。
「始めるぞ。その様子じゃ、準備運動も済んでるみてえだしな」
「はい!」
私もラケットを握ると、コートに入った。
未だに、なぜこの人とダブルスを組むのか、晴れない疑念を抱きながら。
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