テニスコート

□5.時にはMに
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「あれ、鈴木さん、まだ走ってるの?」

「そうみたいだよ」

男子テニスコートに、相変わらずの一年生ズがそろう。

「しっかし、先輩たちも変わってるよな。乾先輩は、いきなり鈴木と部室にこもっちゃうし、出てきたら出てきたでグラウンド何十週も追加して走らせてるらしいぜ」


水野は束の間、手を止めて汗をぬぐう。

「でもそれだけ、期待されてるってことだよね」

「いいな〜」

夢を見るような口調で声をそろえる、2人に、堀尾は得意げに胸をたたく。

「うらやましかったら努力することだな。ま!俺に声がかかるのは時間の問題だけどな」


「…堀尾君、ボール拾いなよ」

少し溜息をつくと、自然とグラウンドへ目を向けてしまう。

一際小柄な同級生が、未だ背筋を伸ばして、走り続けていた。










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