*サンプル集

□お題
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「…は?」

『だから…』


久し振りの撮影。スチール、並ぶ照明、フラッシュと共にシャッターを切る音が響く。


珍しくヘソンと絡むショットを撮影しているところで、困ったように言葉を濁す相手の囁きが聞こえて来る。

「…だから、理由をいえよ。判らないと、どうしてやることも出来ない」

相手の肩を抱く振りをしてカメラマンを煽る。

俺とヘソンのショットが欲しいなら、プロの腕で彩って見せろ。

そう伝えるように俺は視線を落とす。


『………ンの、馬鹿っ…』

泣き声にも似た溜息に視線を上げるとそこには潤んだ瞳をしたヘソンがいた。

驚いて庇う仕種で相手の肩を押して背を支える。

「もしかして」


背筋を伸ばす。身長差はごく僅かだ。ヘソンの頭を自分の肩へと導き、肩越しからカメラを見つめた。

表情を引き締める。念じる想いは一つ。

この綺麗な男は誰にも渡さない。

この綺麗な男を抱けるのは、俺だけだ。


俺だけがこの綺麗な男を抱く腕を持っている。


「ハーイ!エリックさん、ヘソンさん、OKです。次のショット撮ります」


スタッフのOKと共にヘソンが溜息を着く。


『……だから、嫌だって言っただろ』

「なんで?」


困惑している相手にわざと知らないふりをした。


『お前の匂いが染みつく気がするから…』

馬鹿だな、本当に。


お前が好きな香りだって言うからわざわざその香水に変えたのに。

まだ気づかないのか。


お前の艶を左右するのが俺の存在だって事実に。


END
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