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□COME BACKE
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登坂くんのことが好きなんだ...。
そう確信した日から自分でもびっくりするくらい毎日泣いている。
隆二さんを失ってからでもこんなに泣いたことはないのかもしれない。
登坂くんはいつも通り仕事があると出ていった限り戻ってきていない。
はやく、登坂くんに会いたい...。
そう思っていたらガチャリと開いたドア。登坂くん帰ってきてくれたんだって思ってドアのほうを見たら...








あれっ?...りゅ、隆二さん?
俺、幻でも見てんのかなと思って目を全開に開けてみるけど、やっぱりそこにいるのは隆二さんだった。
なんで?どうして?俺の頭にはそんな言葉しか浮かばない。










『岩ちゃん、久しぶり。元気だった?』


そう言って笑った顔は俺が大好きだったあの笑顔そのまんまで...。
俺は、なにがどうなっているのか事態が把握できなくて軽くパニックをおこしかけていた。そんな俺の様子を察したのか隆二さんは俺を優しく抱きしめて近くにあったソファーに座らせてくれた。










そして、俺は全てのことを隆二さんの口から聞いた。でも、なぜだろう。
話を聞いても隆二さんより登坂くんのほうが好きだという気持ちは変わらなかった。











あんなに愛しあったのに...。
もぅ、触れることはできないと思ってたのに...。
自分のせいで隆二さんは...って思ってたのに...。
そんな相手が今そばにいるのに...。
触れることができないと思っていた隆二さんが抱きしめてくれてるのに。
どんなに隆二さんが優しくしてくれても俺の心に浮かんでいるのは...
突然現れた登坂広臣というイケメンだけで...。
俺から、大事な大事な人を奪った張本人を好きになるなんて...。











悔しくて、悔しくて、悔しくて、
でも、大好きで、大好きで、大好きで、会いたくてどうしようもなくて。










結局、パニックをおこした俺は隆二さんを、あんなに大好きで仕方なかった隆二さんを突き飛ばした。










『俺は、登坂くんが好きなんだ。
ごめん。隆二さん...。ごめんなさい』












これでよかったのかはわかんない。
俺を見る隆二さんの目には光も何もない。だけど、自分の気持ちに嘘はつけなかった。

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