01/04の日記

22:43
お正月(孫Ver)
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「お正月って言ったら、やっぱこれだよね〜」

そうオリバーが持ち出してきたのは、羽子板と墨。

「ん?なんだ?」
「羽子板?」
「羽根つきでもやるつもりか?」
「そうそう!皆で対抗戦やろうよ」
「おっ、いいじゃねぇか」
「正月に体を動かすのも悪くない」

乗り気なケヴィンやイヴァンに対し、他からは冷ややかな反応が返ってくる。

「断る」
「オジサン、それよりオリエンスのお酒とか呑みたいな〜」
「ねぇ、コタツとかないの?」

寒そうに首を竦めながらヘンリーが呟くと、オリバーが不満げに彼を見やった。

「ヘリたん?ホラホラ。若いんだから、体動かさないと」

ね?と肩を組んでくるオリバーの手を、ヘンリーが鬱陶しげに払う。

「……オリバー、ハウス」
「ちょっと!?俺、犬じゃないからね!」

冷たくあしらわれても全くめげないオリバーを、他の王子達は遠巻きに見つめていた。

「……あいつ、何で無駄に元気なんだ?」
「う〜ん。若いねぇ」
「雪が積もっているからじゃないのか?」
「……イヴァン、それこそ犬扱いだぞ」

そのままボソボソと好き勝手話していると、王子達の耳に聞き捨てならない言葉が飛び込んでくる。

「じゃあさ、彼女とのデート権を賭けようよ!ね?」

(は?)

一斉に振り向くと、どうやら説得に成功したらしいオリバーがヘンリーに羽子板を渡していた。

「そういう事なら、俺も参加させて貰おうかな」
「オッサン、無理すると腰痛めるから大人しくしてろよ」
「……クオンくん、新年くらい優しくして欲しいな」

新年早々浴びせられる辛辣な言葉に、マックスはがっくりと肩を落とす。
そこでサロンの扉が開かれ、朱金のマントを纏ったリュオが姿を現した。

「お前らうるせーぞ!新年くらい静かに出来ねーのか!」

騒ぐ王子達を怒鳴り付けると、どこからかチッと舌を打つ音が聞こえる。
だが、何事もなかったかのようにヘンリーは完璧な王子スマイルを浮かべた。

「これはノーブル様。明けましておめでとうございます。新年早々ご尊顔を拝謁する栄誉に与り、身に余る光栄に存じます」
「おい!今誰か舌打ちしただろ」
「空耳じゃない?それより、ノーブル城主ともあろうお方が、挨拶を返さないつもり?外交の基本すら出来ない人間によく城主が勤まるよね」
「……これは失礼した。明けましておめでとう。で?確かに俺には聞こえたんだがな。まさか、もう耳が遠くなったのか?」
「ノーブル様こそ、空耳が聞こえる程お疲れ様のご様子。私共に構わずゆっくり休まれては?」
「気遣い痛み入る。だが、まさか新年早々お前から労りの言葉が聞けるとは思わなかった」
「ノーブル様あってこその、我々同盟国ですから。臣下として当然の勤めです」

そこまで言い、互いににっこりと微笑みあう。

「……(怖っ)」

笑顔なのが逆に恐ろしく、王子達は無言で固まっていた。




Fin

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