12/17の日記

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軍人キース&軍人ロベルト
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※戦場が舞台なので、一部そのような描写があります。
苦手な方はご注意下さい。
某所でお話ししていて、素敵なイラストについての会話の中から生まれたのを書いてみました。
元ネタは、そのイラストを描かれた方のです。

ー・ー・ー・ー・


「キーちゃん助けに来たよ〜」
「は?呼んでねぇよ!帰れ!」

戦場に似つかわしくない程脳天気な笑顔を浮かべて近付いてくるロベルトを、睨み付ける。
だが、ロベルトはそれを気にもとめずキースの肩に腕を回した。

「またまた〜そんな事言っちゃって。キーちゃんてばほんと優しいんだから」
「は?」
「それって、俺を巻き込まない為、でしょ?」

確信を持ったそれに、キースは無言でロベルトを見つめる。
ややあって、諦めたように盛大に息を吐き出した。

ロベルトを押し退け、頭をガシガシと掻く。
全てを見透かすような瞳に、隠しても無駄だと悟った。

「……分かってるなら、さっさと帰れ。死ぬぞ」
「死なないよ、俺は」
「おま…っ」
「あ、ほら後ろ」
「!?」

背後からの殺気に気付いたと同時に、響く銃声。
銃口から吐き出される煙を吹き消し、ロベルトは銃を収めた。

「ね?俺でも少しは役に立つでしょ?」
「……どうしても、帰らねぇつもりか?」
「うん」

にっこりと微笑むロベルトを無言で見つめていたキースが、胸元から銃を取り出す。
そして、銃口をロベルトへ向けた。

「…っ、ちょ、キー……」

ガウン!と1発の玉が吐き出され、ロベルトの背後に迫っていた敵が眉間を撃ち抜かれて崩れ落ちる。

「……」
「これで借りはなしだ」

銃で肩をトントンと叩きながら、キースは勝ち誇った笑みを浮かべた。

「あはは、ほんとキーちゃんには敵わないよな〜」
「ったりめーだろ。俺に勝とうなんざ、100年早え」
「うん。でも、今回は俺の勝ち、かな?」

トン、とキースの肩を突き飛ばす。
数瞬の後、キースが今までいた所がガラガラと音を立てて崩れ落ちた。

ロベルトとキースの間に地割れが起きる。
気付けば、ロベルトは敵に囲まれていた。

「! ロベルト!?」
「ここは俺に任せて、キーちゃんは早く皆を助けに行って」
「は?ふざけんな!」
「だいじょーぶだって。俺には優秀なスナイパーがついてるからさ♪」

キースにウインクしてみせた直後、ロベルトの周囲を取り囲んでいた敵が次々と倒れていく。
視界の端が一瞬光り、そこから寸分の狂いなく敵だけが撃ち抜かれていた。

見えぬ脅威に恐れを成したのか、逃げ出していく敵を追い、ロベルトはサーベルを引き抜いた。

(アルベルトか……)

一切の躊躇なく、ロベルトに仇成す者を撃ち抜いていく。
沈黙の死神と恐れられる程、優秀なスナイパー。

奴がついているなら、大丈夫だろうと確信が持てた。

「おい!後でぜってー追いついて来い。来なかったら承知しねーから」
「キーちゃん怒らせると怖いからな……。分かった、努力するよ」

果たせるともしれない約束を交わし、二人は戦場を駆け抜けた。

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