11/12の日記
15:46
秋の夜長(孫Ver)
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「う〜ん」
オリバーが一人唸っていると、他の王子達が物珍しそうに近付いてきた。
「どうしたの?オリバーくん。難しい顔しちゃって」
「何だ?悩み事か?」
「ほっとけよ。どうせ、またウェルナーさんを怒らせたとかだろ」
「今度は何をやらかしたんだ?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
好き勝手に言われ、オリバーは慌てて突っ込む。
「何で俺が悪い事したみたいになってんの!?」
「? 違うの?」
「違うよ!」
「ウェルナーでないとしたら……リュオか」
「なら、また書類出しはぐったとかだろ」
「いい加減にしないと、そろそろ継承権を抹消させられるのではないか?」
「だから違うって!」
力一杯否定し、オリバーは手にしていた紙を広げる。
そこには『秋の夜長はどう過ごしますか?』といった質問が書かれていた。
「ほら、これ。雑誌のインタビューなんだけどさ、ちょっと迷っちゃって。皆なら何する?」
オリバーの質問に、王子達は顔を見合わせる。
「俺なら、クラブ行って回すな」
「俺はゆっくりワインでも飲みたいね〜」
「同感だ。たまには飲み明かすというのも悪くない」
「俺はカフェラテの練習。新しいキャンペーン始まるし」
「あ、そう言えば秋の新製品でマロンラテ出すんだよね?」
クオンの言葉に、オリバーが笑顔で訊ねる。
それに、クオンは眉を寄せた。
「何でオリバーが知ってるんだよ」
「ん?さっき遊びに寄った時に教えてくれたんだ〜。彼女のマロンパイも出すんだよね」
「へぇ……」
にこやかに話すオリバーに、冷淡な声が割って入る。
周囲の温度が急速に冷えていった。
「もしかして、遅刻してきた理由ってそれ?オリバーが彼女のところで油売ってる間、俺達は貴重な時間を無駄にしたって事?」
「え……っと……」
ヘンリーの声音に、オリバーは視線をさ迷わせる。
必死に頭を巡らせるが、上手い言い訳は思い付かない。
縋るような視線を向けるが、誰も目を合わせてくれなかった。
「ヘ……ヘリたん?」
「何?」
にっこりと微笑むその顔が逆に恐ろしく、オリバーの背筋を冷や汗が伝う。
「勿論、俺達が納得いくような釈明をしてくれるよね?」
笑顔ながら有無を言わせないそれに、オリバーは泣きながら謝罪するのであった。
Fin
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