あにめオムニバス

□るろうに剣心
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剣心が東京に流れ着いたのは偽物の抜刀斉が出没しているとの噂を確かめる為であった。


噂の真偽を確かめる為茶屋へと立ち寄る


「いらっしゃい」

店には元気な娘が給仕をしていた

「なんにしましょう?」

「おすすめはなんでござるか?」

「そうですね・・・あんみつなんかおいしいですよ・・・あと、ほうじ茶、ご主人の自慢のお茶なんです」

「ではそれをもらおう」

「ありがとうございます!
あんみつとほうじ茶おねがいしま〜すっ」

可愛らしい笑顔を剣心に向け娘は奥へと引っ込む

(さすが賑わう東京は美人なおなごも多いでござる・・・)


「おまたせしました〜」

剣心の隣のガラの悪そうな二人組にも愛想よく注文された商品を運ぶ


「よぉ、嬢ちゃん、今日こそ俺たちにつきあってくれよ」

「そうだぜ、兄貴はあんたに会うために毎日この茶屋に通ってやってんだからさ」

男の一人が馴れ馴れしく娘の腰に手を回す


「ちょっ・・・やめてくださいっ・・・」

「へっへっへ・・嫌よ嫌よも好きのうちってか・・・」

男はだらしなく顔をゆがめると娘をますます自分の元へと引き寄せる


「本当にっ・・・離してっ・・・」

「おいおい、兄貴に恥かかせるつもりか?
ここまで好いてやってんだ。
ありがたく兄貴のいう事ききやがれっ」

「や・・・・」


「待つでござる」

剣心が静かに立ち上がる

「ああ?!なんだてめぇは?!」

「別に何者でもないでござるが、彼女は嫌がっているでござる・・・
その手を離されよ」

「あんだと?!」

子分の男が剣心に殴りかかるが、剣心はそれを難なく交わす


「ぐへっ・・・」

その勢いで男は机に倒れ込む


「きゃ〜っ・・・」


「なんだ?なんだ?」

店で始まった乱闘騒ぎにお客が騒ぎ出す


「ここでは店に迷惑がかかるゆえ、外で決着いたそう」

「ふんっ!格好つけた事、後悔させてやらぁ!」


男は乱暴に娘を離すと剣心に続き表へと出る


「おりゃあああ!!!」


男はがむしゃらに剣心へと殴りかかるがそれをひょいひょいと避ける


「おろろ・・・もう終わりでござるか?」

「こんっの!!ふざけやがってぇぇぇ!!!」

渾身の一発もスルリと交わされ、逆に手を取られ地面にたたきつけられる


「ぐへっ・・・」

「口ほどにもない・・・」

「く・・・くそ・・・」

「これに懲りてもう女性の嫌がる事はやめるでござる」

「わ、わかったからもう離しやがれ!!」

剣心が男を離すとお決まりの


「お、覚えてろよ!!」


という捨て台詞と共に男たちは走って逃げていく



わああ〜・・・と周りからは歓声と拍手が上がる

剣心は照れたように頭をかき、店へと戻る


「大丈夫でござるか?」

先程からまれていた娘に声をかける


「ありがとうございました」

「いや・・・それよりも店を騒がせてしまって申し訳なかった、ご主人」


「いえいえ・・・こちらもスッキリしましたよ
最近くるようになったチンピラでりあにしつこく付きまとうので困っていたところだったんです」

「本当にありがとうございました」

娘が剣心に深々と頭を下げる


「藤野 りあと申します。
・・・せっかくのおやつが台無しになってしまいましたね・・・」

「いや・・・また食べにくるでござる」

「いえ・・・ちょっとお待ちください・・・」

りあは奥へ引っ込むと新しいあんみつとほうじ茶を盆にのせでてきた

「もしよろしければ・・・」

「かたじけないでござる」

剣心はあんみつとほうじ茶をかき込むと二杯分のお代を机の上へと置く

「馳走になった」

「あ・・・二杯目のお代をいただく訳には・・・
というかお代はいただけません」

りあが剣心が置いたお金を剣心へと返す

「そういう訳にはいかないでござる」

「でもこれではわたくしの気が収まりません・・・」

「しかしおいしい物をごちそうになったのに・・・」


2人が店先でお金を押し付けあうのを呆れた顔でご主人が見ていた

「お侍さん・・・」

「なんでござるか?」

「今回はこちらが助けていただいたんだ。
人助け代だと思ってそのお金は引っ込めてもらえないだろうか?」

「そ・・・そうでござるか・・・
ではそういうことなら今回はありがたくご馳走になるでござる」

「はいっ、ありがとうございます」



剣心は人助けをしたと言ってもらえそれだけで満たされる思いだった



その後薫と出会い、なんだかんだあって居候する事になったのだった。


神谷道場には弥彦と左之助がいた

「もう一人いるんだけど今仕事に出ててね・・・
夕方帰ってくるから・・」


「え〜ってことは今日は薫が夕飯作んのかよ・・・」

「そっか〜・・・」

左之助はさっさと今日の晩飯は他を当たるかと出て行く


明らかに落ち込む弥彦

「なによ!文句があるんなら食べなくったていいんだからっ!!」

「・・・よりしければ拙者作るでござるよ
お世話になる身ゆえ、手伝わさせてほしいでござる」

「え・・・いいの?」

「任せるでござる」


薫は剣心に炊事場へと案内する


「材料はここにあるものを使ってくれる?」

「了解したでござる」

「じゃあ私はお風呂沸かしてくるわね」


剣心は手際よく夕飯を作っていく

アジの干物に味噌汁、ごはん、香の物・・・

日もくれた頃夕飯を薫と共に夕飯を配膳する



「ただいま〜」


「あ、おかえりなさ〜い」

薫がもう一人の居候を笑顔で迎える


「あれ?お客さん?」

配膳が一人分多いのをみて薫に尋ねる


「あ、うん・・・今日から居候する人でね・・・」


「え?また居候人増やしちゃったの?
薫ちゃん、どんだけ優しいの・・・」


「そ、そんなんじゃないのよ・・・
助けてもらって・・・それでね・・・」


「薫殿湯呑はどこに・・・おろ?」

「あ!!」


「え?」

「まさか居候って彼?」

「うん・・・そうだけど・・・知り合い?」

「あ・・・うん、昼間茶屋で助けてもらって・・・」

「もう一人の居候人はりあ殿であったか」

剣心がりあに微笑む


「改めて昼間はありがとうございました」

「こちらこそごちそうになったでござる」


「お〜!うまそう!!」

弥彦が配膳されてる夕飯を見てはしゃいでいる


「さあ、ごはんにしましょう」


「あ、うん」


「「「「いただきます!!」」」



「あらおいしい」

「ほんと、おいしい!
かおるちゃん、うであげたね〜」


「あ、えと・・・今日はね・・・」

「ちげぇよ、りあ、今日の夕飯は剣心が作ったんだ。
薫がこんなうまい飯作れるわけねぇだろ」

「ちょっと!弥彦!!」

「へ〜・・・お料理上手なんですね〜」

「口に合うようでよかったでござる」


和やかに夕飯は進み、剣心とりあで後片付けをする


「拙者がやるゆえ、りあ殿は休まれよ」

「いえいえ、居候なんだからこれくらいしないとね」

りあは手際よく片づけをしていく


「りあ殿は愛想もよく、テキパキしていていいお嫁さんになりそうでござるな」


「えっ・・・」

「・・・どうかしてでござるか?」

「あ・・・ううん、なんでも・・・
やっぱりあとお願いしてもいいですか?」

「あ、ああ・・・かまわないが・・・」


りあの顔は少々青ざめたようにも見えたが、そのまま剣心の元から離れた


「・・・何か気に障る事をしてしまったのであろうか?」

褒めたつもりだったがりあにとってはそうでなかったのかもしれない。

剣心は悪い事をしたな・・・と後片付けを早々に終えりあの部屋へと向かったのだった


りあの部屋は剣心の隣であった

中には行灯が付いているのでまだおきているのであろう

ポスポス・・・と障子を叩いてから声をかける




 

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