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□悔いなき戦い
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……
ガスももうない
刃も折れて
身を守る事すら不可能だ
もう…あとは巨人の胃袋に
入るだけとなった。
私はただ…
青く広い空を眺めていた。
目の前から聞こえる巨人が人間を
食べる音。そして血の匂い……。
折れたこの、両足のせいで
見晴らしの良い草原から
移動することもできないでいた。
馬は全て潰され
何度指笛を吹いても来る筈もない
……この状況を
人は"絶望的"とでも言うだろうか?
…もう、恐怖も絶望も消え
私は笑いが止まらない。
次は私の番だ。
「ふふ……、なんなのよ……。早く私を食べればいいじゃない!!!!」
目の前で私の親友のシンスを食べた、金髪の巨人に叫びをあげる
……だが
巨人は私から視線を外すことなく
シンスの首を吸うことを止めない。
親友が食べられているのに
何もできない、この屈辱
もう沢山だ……
……早く食べてよ。