□団長の朝
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ーーーーパチッ



エルヴィンは誰にも起こされずとも、こうして必ず決まった時間に瞼が開いてしまう


自身でも驚く程に、正確な体内時計なのだ。



そしていつものように重い身体を起こし、必ず欠かさず次に行うのは、隣に眠る名無しさんにするキス事だ。





ちゅ……… くちゅ




「ん………、」





「起こしてしまったか?」



起こしてしまったか?なんて聞くエルヴィンだが、誰だって寝ている間に舌なんて
入れられたら起きるに決まっている




「………ん。」




名無しさんはうっすら瞼を開き、一瞬不機嫌そうな顔をするが、再び瞼を閉じた。これが二人にとっては当たり前の日常であり今日も何も変わらぬ朝を迎える方ができたと言う事なのだ。



「起こしてしまったな、もう少しゆっくりと眠っていると良い。では俺は仕事に行く」



いつもの様に名無しさんの頭を撫でながら
シャツのボタンを止めるエルヴィン



そんな彼の姿を、寝ぼけ眼で見つめた名無しさんは、目の前の彼を目一杯の力で布団の中に引きずり込んだ



「…おいおい、…もう仕事に行かなければ」


「……とか言って半分は自分から入り込んで来たでしょ?」



……エルヴィンはにやりと笑いながら
最後は自ら名無しさんの入る布団の中に潜り込んだ



「はははっ、鋭いなお前は。」


「あと少しだけ一緒にいて?…はぁっ団長あったか〜い」



エルヴィンは自分に抱きつく我儘な恋人の額にキスを落とすと、優しく微笑みを見せた。



「……ねぇエルヴィン団長…」



「どうした?」



「…髭、」




頬に、チクリと刺さる髭を指摘する名無しさん



「あぁ、すまん…今剃る」



エルヴィンは自身の頬の髭を手で確認をし、少し考え込み名無しさんの頭を撫でながら語り始めた



「なぁ名無しさん、俺が髭を伸ばすって言ったら、お前はどうする?」



「うーん、その時はお別れするっ」



そんな辛口な事を言いながらもぎゅううと抱きついてくる名無しさんを、とても愛おしく思ってしまった



「はははっ、それは困るな。よし、では仕事に行ってくる…………」



「やだ」



「こら、離せ…名無しさん。俺も行きづらくなるだろう。帰ってきたらたっぷり愛してやる」



…腕に抱きついて離さない彼女の
額にキスをしてやれば

その腕は自由になった。



「…わかった。いってらっしゃい」


「あぁ、行ってきます」



エルヴィンは笑顔を見せ、
調査兵団のジャケットを羽織る。




(俺は、この当たり前の毎日が幸せだ、この日常を守るために……今日も仕事を頑張るのだ)

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