□呼ばれぬ名前
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「兵長、今夜シチューでいい?……たしか具材余ってるし……」



…………名無しさんよ。



いつになったらお前は
俺を名前で呼ぶようになるんだ?



付き合ってから8ヶ月もなるが
俺を『リヴァイ』と名で呼んだ試しはない



俺は『名前で呼べ』、なんて事は
言いはしないが



やはり恋人と言うより、部下上司の関係のままのようで腑に落ちねぇ。




「兵長聞いてます?」



「あ、あぁ、俺はなんでもいい」




"重い男"なんて思われたくねぇ……でも……名前を呼んでほしい




そんな悩みを持った俺だったが
解決へと導きそうなチャンスが
訪れた。。






食事を終わらせ
ソファーに腰をかけていた俺の横に
名無しさんも腰をおろす





「ねぇ、兵長……」






「?、どうした」






「今日ね、ライナーにね、兵長の事なんで名前で呼ばないの?って聞かれたの」



「へぇ……まぁ確かにお前は俺を名前では呼ばねぇな」






……なんて言ってはいるが
内心は少しばかり上がっていた





「それでねっ、兵長の事……名前で読んだ方がいい?」




……来た



俺はこの日を
ずっと待っていた。



恋人である俺を差し置いて
同期には「ライナー」とか
名前で呼ぶ度に何度も嫉妬していた




それが今日でおさらばだ



「あぁ、お前の呼びやすい方でいいぞ」


「うんっ、じゃぁ慣れてるから兵長で」






………………。





…………。













素直に言えばよかった……な……。







……

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