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□怪我をした君へ
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先日のウォールローゼの穴を塞ぐ作戦にて怪我を覆った兵長のリヴァイ、一時は重傷となり助からないと言われていたが
彼の生命力の強さ故、一命は取り留めた
しかし、肝心な意識が戻らないまま3ヶ月が経とうとしているのだった。
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___コンコン
「失礼します…リヴァイ兵長…」
片手に花を抱えリヴァイの眠る部屋へとやって来た名無しさん。
彼女は104期生の一人で
リヴァイを想う者であった
リヴァイへの気持ちは『恋心』だとは誰にもぬようにしてきてはいた名無しさんだが、
苦しんでる兵長のために自分に何かできることはないか?…と、こうして毎日リヴァイの眠る部屋へと訪れ、清潔な彼の為に毎日掃除と着替えをしてあげていたのだった
最初は戸惑ったが、毎日同じ下着だと兵長が可哀想だと意を決して 下半身のそれ を見ないように着替えも行っている。
「兵長、身体も拭きましたし、お着替えもおわりましたよ」
聞こえてるかもわからない
それでもこうして毎日話しかけるが…リヴァイからは1度も返事は返ってこないのだった
-___コンコン
「失礼する、私だ」
名無しさんが振り返ると
入り口に立つエルヴィン団長がいた
彼もこうして兵長の様子を見にやって来るため、部屋で何度か遭遇していた
「名無しさん、今日も来ていたのか…」
「…は、はい。兵長の為に何かしてあげたくて…」
「そうか…。早く戻って来てくれるといいな」
エルヴィンはジャケットを脱ぎ、シャツの袖を捲り上げると、わざわざ買って来たのであろう紙袋に入っている食材をリヴァイの部屋の保存庫へと詰め込んでいった
「エルヴィン団長…そんなにプリン買って来ても…リヴァイ兵長は今点滴生活ですよ?」
「あぁ、知っている。お前がいると思ったんでね。まぁ、リヴァイにではなくて頑張るお前に買ってきたと言うところだ」
「…ありがとうございます!」
笑顔を見せるエルヴィンに名無しさんは礼をして、それからまた掃除を始めた
「リヴァイも喜んでるだろうな。名無しさんが居なかったら、着替えなんて誰もしなかっただろうな」
「私にはこんなことしか力になれないんで…」
申し訳なさそうに話す名無しさんにエルヴィンは優しく頭を撫で上げた
「こんなことじゃない。どんな小さな事でも、リヴァイにとっては嬉しい筈だ」
そんなエルヴィンの言葉につられ、名無しさんも笑ったその時だった
「…ぅ…ッ」
「兵長!??」
「リヴァイ!??」
小さく声を上げたリヴァイ
すぐにエルヴィンもベッドへと駆けつけた。
「リヴァイ!!目を覚ますんだ!!」
「兵長!!」
リヴァイの手を握りしめ必死で呼び戻す名無しさんとエルヴィン。
必死で意識を覚醒させようとしている兵長の手を握りしめ、名無しさんは願った
早くまた元気な姿を見せてほしい
また話がしたい…
…だが
リヴァイから返ってきた一言は彼女にとって忘れられない物となってしまうのだった。
…
薄っすらと目を開けて意識を徐々に覚醒させていくリヴァイ。そして目の前の名無しさんを見て…
「ペ…トラ……」
と呼んだ。
兵長の口からでた名前は
名無しさん…ではなかった。
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