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□甘え
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「名無しさん…一緒に入ろうか」
恋人であるエルヴィンは一緒にお風呂に入ろうと私の首筋を撫でて来た。
今まで一度もそんな事はなかったのに
……どうしたの?
「さぁ、入るぞ」
私の脇を持ち上げ無理やり立たせるが、必死で嫌々…と首を振り続けるの私に対し、首を傾げるエルヴィン。
「今夜はまだ風呂に入ってないのだろ?」
「そうだけど……一緒はやだ」
断る私の髪を撫でながら『どうしてだ?』なんて首を傾げ優しい顔で見つめてくるエルヴィン。
……だが、私は決して彼に流されることはなかった。
「残念だなぁ、やはり名無しさんは俺のようなおじさんとは入りたくないよな」
「別にそんな事言ってない!」
エルヴィンは私との歳の差を気にしてるのか、自身を『おじさん』と呼びながら一人浴室へと行ってしまったのだ。拗ねてしまったのだろうか……
1人取り残され、ちょっとした罪悪感に襲われた私は、すぐに彼を追いかけた
ガラッ
「エルヴィン!!…あぅっ……ごめん」
勢い良く開けた浴室の扉の中にはタオルを身に付けないエルヴィンの姿があって、恥ずかしさ故に私は開けた扉を静かに閉めるが、エルヴィンはそれを許さない。
「待て、別に恥ずかしがることではないだろう?」
俺の体など飽きるほど見ているだろと付け足したエルヴィンは、下を向いたまま動かない私の衣類を一枚ずつ剥ぎ取っていく。
「ま、待ってよ…入るなんて私言ってない」
「ははっ、そうだったな」
睨みながらも頬を赤くした私を抱えてエルヴィンは浴槽の椅子に座り、そして脚の間に私を座らせ、湯をかけて丁寧に私の身体を泡で洗い始めた
「もう慣れたか?」
「まぁ」
最初だけ恥ずかしかった!なんて言ってはみたが…私の心臓は、本当は今でも高鳴っていた。
鍛え上げられたその身体、腕、
大きな身体と大人な色気…
何度その身体に抱かれようと、慣れることなどないのだ……
そんな事を考えていた時、不意に反転させられてエルヴィンと目が合ってしまった
「え、っと…あの、待って!!あ!!!今度は私が洗ってあげる!」
「そうか、ありがとう」
私はスポンジに泡を貯め、ゆっくりとエルヴィンの大きな身体を洗っていく
「あぁ……、もう少し力入れてくれ」
「これくらい?どう、気持ちいい?」
「……俺に『気持ちいい』と言わせたいのか?」
笑ながら洗いあった私達は湯船に仲良く入り込んだ
。