□別れ
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「…すまない…別れてくれ」



いきなり…



訳も分からないまま別れを告げられ、
エルヴィンは出ていってしまった……




私は結局……



この子の事を伝える事が
できなかった。









数ヵ月ほど前の事…



体調が優れなかった私は友人に勧められて妊娠検査薬を使用した。



結果は陽性


相手は今お付き合いしている、調査兵団団長のエルヴィン・スミス以外に有り得なかった。



……彼、エルヴィンとは同じ部属なので会う機会も多く、私達の関係が恋に発展するまでそんなに時間はかからなかった。



エルヴィンの突然の告白から付き合い始め、いつしか一緒に暮らすようになり



私達はお互い冷めることもなく、このままずっと一緒にいられると思っていた




なのに、…………エルヴィン


どうして?




別れを告げられてからこの一週間、互いに仕事はしているものの用事以外で話すこともなければ、もちろん二人で会うことは一切無い…。


直接話をする機会は沢山あったから、この子の事を伝えようと思えば伝えることできたのだが…


私の覚悟が決まらなく、そしてその間にも私の中で命の塊は育っていく



この子は私と、私の大好きなエルヴィンの子……たとえ別れていたって、切り捨てることは決してできない。




決心した私は教官に、兵団をやめる手続きを提出した。




『私情を挟むなと言った筈だ』



当然私と団長の関係を知る教官達は私が別れたことの腹いせで退団すると思っているのだろう


だが、私は…真意を伝えなければならなかった




『教官……私はこのお腹の中にいる子を育てる母親としての義務があります』


教官達は私へ向けていた視線を一気に私の下腹部へと向けた


『妊娠…だと?……エルヴィンは知っているのか?』

『…………いいえ』


私はたった今始めて、自分以外の他人にこの子の存在を伝えたのだ。当然エルヴィンはこの事を知る筈はないだろう


それに…彼がこの事を今後も知ることはない。




教官達に『エルヴィンにはこの事を告げないで欲しいと』念を押し、私は退団をした。




それから1ヶ月が経ち
また更に1ヶ月と時が過ぎていく



私は退団してからアパートに移り、このお腹の中の子供と暮らしている。



もう誰が見てもわかる程に
お腹は大きくなった



あのまま調査兵団として戦い、この子と二人で壁の外で死ぬ選択もあったけど



…私にはそんな事はできなかった……





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