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□身勝手な終焉
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「選べ…。血を分け与えられ鬼となるか。細胞破壊され、塵となるか」
恐ろしく冷酷な顔をした男に壁まで追い詰められた少女、ナナシは
言葉も出ずに震えていた
「選べぬと言うのか…。私の血を分け与えられられる事ができるのは、選ばれし者だけだ。その選択肢を与えられただけで幸福だというもの、だが貴様は私の問いにも答えなかった」
一見ただの冷酷な人間にみえる男だが、片手でナナシを掴み上げた、自分の背より高く持ち上げたその力は
まさに鬼そのもの
ナナシは涙を流して、死を覚悟した。
そして走馬灯を見た時、自分が死んだと感じた。
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薬品のような苦い匂いで目を覚ましたナナシ
見覚えのない場所に寝かしつけられえる事で身震いをした。
死んでなかったのか
あるいはここが死後の世界なのか
ナナシは、恐る恐る自分に丁寧にかけられた布団を抜け出した。
そして部屋を抜け出そうと、襖を開いたその奥に広がるのは
まるで異世界だった
捩れる空間
無限に繋がる階段
ナナシは言葉を失い、その場に座り込んだ。
「…夢…。いや、私は死んだの?」
「夢よりも遥かに居心地が良い場所、そう私は思うがお前はどうだ?ナナシよ」
後ろから聞こえた声に反応したナナシ
振り返れば先程まで居なかったはずのあの男が立っていたのだ。
「あなたは…誰なの?」
「知ってどうすると言うのだ?…と、言いたいがお前は私が陽光の元でも暮らせる為に必要な血肉なのだ…折角なので教えてやろう」
そしてうすら笑みを浮かべ、男はナナシの目の前まで近づいて来た
「…や、めて」
「私は鬼舞辻無惨と言う名を持つ者。お前の血肉を…その恐れた瞳も、震えた声も全てを私の身体に取り込んでやる。」
光栄に思え…
そう冷たい手を差し伸べた鬼舞辻の手を、ナナシは咄嗟に退け払った筈だったがが、その手を強い力で掴まれていたのだ
「私に反抗するとはな…、。まぁいいだろう。…さぁ、無限の命を与えよう。私の中で、私と共に無限に生きろ。何百年、何千年との時を、ナナシ…お前は私と共に生きるのだ」
重なり合った手が、ゆっくりと鬼舞辻の中へと入り込んでいく
抵抗しても逃れられない。
ナナシは全てを諦め、無惨に身を任せるしか無く、目を閉じた
「そうだ…。そのまま私と融合するんだ。身も心も…全て」
嬉しそうな鬼舞辻が笑ったと同時に、ナナシは首元の痛みに再び目を開いた
「…っ、、」
私の証だと、その牙のような尖った歯で首筋を噛まれたナナシ
噛まれた傷からゆっくりと溢れ流れる血を、鬼舞辻は舌を使い舐め取っていく
「嗚呼…たまらぬ。何年、何百年と探し求めていたものが、こうして目の前に居るのだ。素晴らしい…」
何度も何度も血を吸われ、震えるナナシの身体はもう半分以上取り込まれてしまっているのだった
「…や、」
「無限に私と幾度となく超える事ができるのだ。悲しむな。」
ナナシは優しく頬を触られ、ゆっくりと痛みのない口づけをされたまま、解けるように取り込まれたのだった。
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「……終焉だが、また始まりでもある」
聞こえるか、ナナシよ。
永遠に私の中で、生きろ。
私はこの命尽きるまで、お前と共に過ごそう
______ナナシは暗闇の中で、鬼舞辻との繋がりを感じながら、新しい人生が始まろうとしていた。_____
end