□盲目の愛
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「あれ?時透さん、どうしたの?」


いきなりナナシの手を引きながら現れた無一郎に、玄弥は首を傾げていた



「ナナシが玄弥に話したいことあるんだって」



「え!??」



手を引かれたナナシは、全く予想もしなかった無一郎の言葉に、おどおどとしていたが、


背中を押され、玄弥の前に出た。


「え、、なに、ナナシ?」



「あの… えっと……」


何を話していいかも分からないナナシは、後ろにいる無一郎をチラチラと見ながらも『どうしたら…』と助けを求める



そんな彼女に痺れを切らした無一郎はナナシの腕を力一杯引き、抱き寄せた



「!???」


「はぁ…自分で言いなよ」


「無一郎くん、、言うって…な、何を」


「俺のものだって」


そう言った無一郎は玄弥に見せつけるかのように、ナナシにキスをした。


「ん……」


当然ナナシ本人だけではなく、いきなりの事に目の前の玄弥も驚きを隠せない




そして無一郎はナナシから身体を離し、玄弥を見て笑顔を見せた



「こういう事だから」



「え……」



「なに?玄弥」



そんな行為を見せられ、まさに今、思春期の玄弥は無性に顔を反らしたくなった。




「…めんどくせぇんだけど。何?俺がナナシと仲良くするのが気に食わないって事か?ヤキモチってやつかよ、本当めんどくせぇ…」



「…そうだけど文句あるの?」



玄弥の言葉に少し顔を赤くした無一郎が、ナナシをちらっと見てから再度玄弥の顔を見る


すると玄弥は『気付かなくてごめんね』とニコリと笑顔を見せた



「別に、玄弥が悪いわけじゃないけどさ…」


無一郎は申し訳なさそうに視線を外す。


「まぁ、仲良くて良いんじゃねぇの?、とりあえずもう俺悲鳴嶼さんに呼ばれてるから、行かないと!じゃあなっ」

そう言ってニコニコと笑って手を振る玄弥にゆっくりと無一郎とナナシも手を振り返した





「…無一郎さん、あの、私…無一郎さんの気持ちにも気付かなくてごめんなさい」



「わかればいいよ。僕も強く当たってごめん」



そう言って微笑んだ無一郎はナナシの頬をするりと撫で、優しく抱き締めた。




「ずっと僕と、一緒にいて」


「私なんかでよければ…」




見つめ合い、笑う2人の影が一つに繋がる。

いつまでもこんな風に過ごして行けたらと、互いに強く願っていた。





。end


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