□恋始まる物語
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______列車の中での生まれた恋_____







「うまい!!」




「あのぅ…言葉以外の方法で表現してもらえませんか?」



「む? ではどのように表現すればいい?!」



煉獄杏寿郎は、同じ鬼殺隊のナナシをまじまじと見つめる。


「うーん、、笑顔…とかですかね。私なら顔で表現します」




ナナシは購入した弁当を箸で取り口に詰め込みつつ、さり気なく乗車してる列車の周りを見渡した


同じ車両にいる客の視線は相変わらず痛い…。


だからといって自分より格上の柱に「他の乗客の迷惑になる、公共の乗り物では静かにすべきだ」…なんて事言えるはずがなく


ただただ煉獄と同じ箱席の中で、小さく縮こまるのであった。


 

そんな困った彼女の言葉に対し煉獄は黙り、何かを考えている



「ん…笑顔か。…でもしかし!顔での表現だけではあまりこのうまいという想いが他人に共有できないのでは!? やはりうまいものは「うまい!!」そう全身で表現するのが一番だと俺は思う!!」



そう言うとまた煉獄はいつもの様に何度も口に弁当を運び一口一口「うまい!」と連呼をする事を始めた




ナナシは自分の指導をしてくれる柱である煉獄に対し、尊敬はしているもの、この時ばかりは恥ずかしい気持ちでいっぱいなのだった。



……早く下車したい




……一刻も早く腹を満たして
弁当を食べることを終わらせて欲しい



そう思うが煉獄の食は止まらない。




そして




煉獄がやっと20箱程食べた時のことだった。








「ナナシ!!」




「は、はい!」


「その飲み物俺にくれないか?」



「え、…」



煉獄は自分の飲み物が空になったことを指でアピールし、ナナシの飲みかけのお茶を指さした


「あ、はい!あ…。すいません…もう私手つけてしまいました」


「だからどうした!!」



「え、どうした…って、、私が口付けてしまってます、なので汚いので渡すことは、」


「そんな事俺は気にしない!!むしろそれで良い!!!!」



「ええぇ!!??」



ナナシは恥ずかしい気持ちもあったが、煉獄の勢いに負けて自分が先程まで飲んでいたお茶を煉獄に手渡した


「え!??、あ、はい、、逆に私ので良ければ」



「俺を慕ってくれるのは有難いが、そんなに顔を紅くされては受け取りにくい!」


煉獄は恥ずかしそうに笑うと

ナナシの頭に優しくポンっと手を置き微笑んだ



「今日は飲み物を受け取るのは遠慮しとこう。気持ちだけ受け取っておく!だがしかし!!!!俺以外に自分の飲み物を渡そうとしてはならんぞ!」



「…へ、、、は、   はい!」





この瞬間、ナナシの恋が芽生えたのだった




つづく



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