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□窓から始まる恋 裏
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翌日の夜
もう二度と会話する事はないと思っていた窓越しの名の知らない赤い男
の、はずだったがその彼は何を考えているのか昨日同様にタバコを吸っていて、またもジェスチャーで窓を開けろと言ってきていた。
「昨日ぶりだな、と」
窓を開ければニヤリと口角を上げる男だが、のこのこ窓を開ける私も私だ
「明日カーテン買ってくるわ」
「はぁ?せっかく知り合えたんだからもっと交流深めようぜ?」
「こんな窓越しで?」
「なんならそっちに渡るぞ、と」
「冗談やめて」
目の前の男と話をしていると、出会って間もないというのに1時間以上経ってしまったのだった
窓を開けた時はまだ真っ暗だった筈の空はもう明るくなり始め、私は8時から仕事だった事を思い出し目の前の男に伝えた
「ごめん、もう…寝るかな」
「そうだな。また会えたら話そうぜ?」
カーテン買ってなきゃね…
と一言冗談を言い残して、おやすみと窓をそっと閉める。
窓越しで手を振ってくる男に対し、また話せれたらいいな…なんて密かに思うのだった。
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そして翌日の事
昨夜寝るのが遅かった事もあり、今日は何となく早く帰りたかったのに。上司に捕まり飲み屋に連れられまさかの、時計の針は夜中の3時を回ってしまっていた
最悪…と思いながらも、フラフラと家にたどり着き、そして酔ってしまった身体を冷まそうと水を飲み
そして窓を開ける
「…随分とフラフラだな、と」
忘れていた。
私は完全に隣のアパートの男の存在を忘れてしまっていて、普通に話しかけられた事に驚き声を出してしまった。
「……びっくり、、」
「…酔ってるのか?」
「すこ〜しだけねっ」
「本当に少しかよ」
「……ねぇ、それより…私貴方の事何も知らないんだけど」
完全に酔っている私。いつものクールさが消えて、少々あどけない感じがでてしまっているのはなんとなく自分でも分かる、気がする
「俺の何を知りたいんだ?」
「まずはね〜。」
「どうせ名前だろ?俺はレノだ、アンタは?」
「レノねぇ〜。私ななし!覚えておいてよ??」
完全に昨夜と違う私を見てなのかわからないがレノは鼻で笑いだす。
しかしそんな事は構わず、私は酒の力なのかわからないが、レノに自分から色々な話をし始めた
___嫌な上司のこと
__元彼のこと
__趣味がなくて暇なこと
___レノと窓越しで話すのが
今一番楽しいこと
そんな話を聞いて、レノは嬉しそうに笑っていた。
「俺と会えるのが楽しみなんだろ?」
「うん!」
「したらもっと俺を知りたいと思わねぇか?」
「え?教えてくれるの??」
「あぁ、たっぷり教えてやるぞ、と」
レノはニヤリと笑うと、窓枠に身を乗り出して、私の部屋の窓へと飛び移る
「きゃ!!!え、…落ちちゃう」
「落ちるかよっ と」
そして掴んだ窓枠を、腕力だけでよじ登り横へ降りたった。
「…あ、の……」
唖然としている私
しかしレノは楽しそうに笑っていた