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□カッコ良くなりたいぞ、と
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「ピアノとかエレクトーン弾ける男ってちょっとカッコいいよね」
オフィスでイリーナと話すそのななしの言葉のせいで、俺はルードとピアノの置いてあるバーに毎日通うようになった。
「おいルード、ここ指が届かねぇんだけど」
「相棒、それは…慣らすしかない。」
ルードが謎にピアノができることを知っていた俺は毎夜そのバーに通い、相棒に教えてもらうが……
腹立たしい事に俺の指はルードのよう自由に動かない。
「…なぁルード、ちょっとなんか弾いてみてくれよ、と」
「…」
いつも俺が『何か弾け』と無茶振りすればルードは無言でピアノと向かい合いゆっくりと弾き始める。
♪♫♪♬〜
「流石だな」
弾き終わるとバーにいたやつらがルードに向けて一斉に拍手をする。
俺は素直にすごいと思った。
「レノ、ピアノが弾けたからとななしに惚れられるとは限らない。レノはレノのままで良い」
「いや、俺はアイツに夢中になられるまで、本気でやるぞ、と」