□ギャンブル
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「俺はレノだ、あんたは?」


「ななし」


「ななしか、あんたは変わり者だな」


「私からしたらレノ、あなたも変わってると思うよ」





レノは笑いながら話を他愛もない話を続けてくるが、そろそろ帰らなければ、彼氏がまた暴れる気がして


私は何度も時計を気にしながらも会話を返していた




「普通出玉渡す奴はいないぞ、と」



「別にいらないから。」



「まぁ、スロット初心者らしいしな。でも換金した金額的に、飯は6回は行けそうだな」





『彼女と行きなさい?』と伝えると、レノはニヤと笑い、タバコを消す



「なぁ、ななし、あんたが勝ち取った金額が無くなるまで、俺と飯食いに行くのを付き合え」



「そんなことしなくていいよ」



「なぁ、悪い話じゃないだろ?」




「でも‥私は、、」



「金額が0になるまでに今の男を忘れさせてやるぞ、と」



「!?‥え」



私が『彼氏がいる 』なんて言ったっけ?と考えていると、いきなり腕を掴まれた



そして私は袖をおもいきり捲り上げられる


「この傷、最近だろ? 」


レノにはバレていたようで今日やられた傷や、最近殴られた痣を目の前に真顔で見つめられ、恥ずかしい気持ちになった。


「なぁ、騙されたと思って俺に賭けてみろよ」


レノは優しく私の袖を戻してくれる



「でも、、」
 

「その男と別れられないんだろ? 金額が0になった時にななしが俺を好きになってなければ、今のままでいい。」



な?っとニヤニヤ笑うレノのこの一言から
私達の賭けが始まった。


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2回目




「よっ、ななしチャン」


レノは私の例の彼氏に見つからない場所まで車で迎えに来てくれた。彼氏には友達と遊ぶと理由づけレノとの賭けに参加をする私。


一応浮気になってしまうのだろうか?…なんて罪悪感も感じながらも、彼氏と同棲している事や、暴力行為の始まった時期などを話したり、


逆にレノの過酷な仕事の愚痴や、相棒と呼ばれるルードの話、主任の話などを互いに語り合い


…私にとっては貴重な時間だった。


レノは最初怖い人だと思っていたが、何となく悪い人ではないと思うようになってしまう。



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3回目




「ななし、王子様が迎えに来ましたよ、と」


「なにそれ」



バカげた会話にも、笑みが溢れる私達。
今の彼氏との会話でこんな小さな事で笑えただろうか?




「今日は美味いラーメン屋に連れてってやるぞ、と」



「ありがとう」



こんな男性もいるんだな、って思うようになり始めた私。きっとこの時から今の彼氏に対して考えるようになっていたんだと思う。




今のアイツと一緒にいて
最後にいつ笑えただろうか、、、


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4回目





「愛しのレノ様の登場だぞ、と。今日は何食いたい?」


「えっとねぇ‥」




自分の食べたいもの
行きたい場所を伝えれる事


そう、自己主張ができる事がどれほど自由で素敵な事なのかと考える時間が増えた。



人の顔色を伺い相手のペースに合わせて
びくびくと過ごす毎日よりレノのように自由に過ごせれたら…どれだけ幸せなのだろうか。。。


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5回目


「‥それ、またやられたのか?」


「‥うん。目立って気持ち悪いよね‥」



「いや、‥お前の男殺したいぞ、と」



「‥。」



レノは私の首に着いた紫色の痣を指でなぞりあげ「俺ならななしを大切にする」と優しく言う。



私は少しずつ気持ちが変わっていたが、レノは私を守りたいと何度も伝えてくれた。






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