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□君の姿を求めて*前編
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レノはあの日のことを
昨日の出来事かのように覚えている。
あの日、雨の降る夜……
仕事が終わり、疲れた体を早く休ませようと彼女であるななしと二人で暮らすマンションのカギを開けたレノ目の前に広がったのは
空っぽな空間だった。
唯一残されていたのは白い封筒と、レノのスーツや所持品だけ
もともと彼女のななしがこのマンションに一人で住んでいたところにレノが住み着いたため、ほぼ全ての家具は彼女の所持品だった。
だから物が何一つのこっていない。
付き合って 2年が経ち、レノにとってななしは隣にいて当たり前の存在となっていた筈なのに
毎夜、色々な女と遊び、酒を飲み、欲を満たすためだけの性行為を続けていた自分を、今更だが悔やんだ。
きっとそれが彼女を怒らせてしまった原因だろう
絶対にななしは何をしても自分の目の前からいなくなる事などないと思っていたレノにとっては、今、目の前にある現実はまだ理解できないでいるのだった。
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