□消えた彼女*切甘
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__レノ__



ななしは俺の軽率な行動に対し何も言わないから、俺の全てを理解してくれてるんだと思い、そのままのだらしない生活を続けた


浮気を理解するなんておかしい発想だよな。誰が好きな奴の浮気を理解する?


そんな事、誰だって嫌なはずだ


何で俺はそんな単純な事に気づけなかったのか、ずっと後悔をしていた。


あの日、いつものように日付が変わり、空の色が明るくなりかけていた頃にななしの待つ部屋に帰宅した俺。



しかし、部屋が…何か、何かがいつもと様子が違っていた。




「……?!…ななし!?どこだよ!!!」




見慣れた部屋にはななしの姿がないどころか、あいつの荷物すら無くなっている



「……どこいったんだ」



どんなに探そうと、どこにもななしがこの部屋に存在していた事を表す物一つない。最初からここには俺だけがいたような、寂しい部屋。



俺は初めて胸の奥が締め付けられるような感覚になった。消えた女なんていつもならどうだってよかったのに


でも、ななしの事は本気だったし、結婚だって考えていた


だからこそ居なくなってしまい、俺はどうしていいかわからなくなった。






__ななし___




毎朝違う女の香水の匂いを付けて帰ってくるレノ



自分だけを愛してくれてない事なんてわかっている。でも…どうしてもレノの事は嫌いになんてなれない惨めな私。


毎日帰ってくることを信じて待っていた。



レノのために作ったご飯にラップをかける。私はこの瞬間が一番嫌い‥



最初は少し帰りが遅い日が続いてただけだったが、気がつけばその”少し”は"朝まで"に変わっていた。




私だって馬鹿ではない。




ほとんど1人で住んでいるのと変わりはないこの生活に、なんの意味があるのだろうか



先の見えない男を待つ意味はあるのか


私は何度も考えては心が折れそうになった。



レノとの未来を考えていた私が馬鹿だったのだろう。



毎晩他の女といるのをわかっていて、何故私はこんな馬鹿げた妄想をしていたのか





1人、涙を流す余裕もなく荷物もまとめ、レノと過ごした部屋を出てとりあえず神羅の寮に転がり込んだ。





涙を流してしまえば、全てが壊れてしまう気がしたから…



まぁ、同じ職場だから顔は合わせる事になってしまうけど私たちはいつだって仕事は仕事で割りきってきた。


お互い喧嘩したって私情を仕事に持ち込む事は一切なかったからその辺はなんとか、、



そんなことを考えていた時、私の携帯の着信が鳴り響いた。




「レノ……!??」



……違った。


着信の主は親友のソルジャーザックスで、何の用かと通話ボタンを押せば、いつもの明るい声が耳を通り抜けた



『よぉ!ななし〜!何してんの?』



「ザックス…何もしてないよ。」




ザックスの声はかなり大きくて、スピーカーにしてないのに耳から離しててもうるさい程


私の今の沈んだ気持ちとは対照的だ。


『いやぁー、さっきレノがななしを探してたからさぁ?喧嘩でもしたのかなーって思って』



…レノ……私を探してくれてる?



私は少しだけまた幸せなあの日に戻れるかもしれないと、期待する気持ちが脳内によぎってしまった。




「…そ、そうなんだ。喧嘩…ではないよ…普通に別れた」



そんな自分の理想を考えれば考える程辛くなるだけ…。それならもう忘れたほうがいい。






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