監禁

□15日目
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……もう
私は死んだのだろうか?


噛み切ったはずの舌は痛みは感じない


でも、腰……
腰に何かの重みが感じる……。


なんだろう…。



私は意識が覚醒したと同時に、自分がまだ生きている事を実感した。そして腰に視線を落とすと、そこにはリヴァイの腕が添えてあったのだ。


きっと彼は私を抱き寄せるようにしたまま、疲れて眠ってしまったのだろう。




でも……なぜ



自分自身の彼女に優しくしてあげればいいじゃない。


そう思いながらも私は腰にあるリヴァイの腕を指で軽く触れた



ピクッと小さく反応するリヴァイの指。


寝ているのかと、思っていたが……すぐに彼の声が耳元に聞こえてきた。


「名無しさん…調子はどうだ?」

「……。」


リヴァイは反応しない私に対して、ため息を吐くと、ゆっくりと起きあがりベッドから降りた。そして保存庫から水を取り出し、一気に飲み干す


私は1人分の重みの消えたベッドの上で、リヴァイへの言葉を探していた



このままずっと無視してしまおうか。
なんて考えた時だった


「……今までで悪かったな。」




(……謝罪?)


……どういう風の吹き回しだろうか。今まで監禁されてから、こうして面と向かって謝罪された事はあっただろうか?

私はその謝罪の真の意味が分からずに、黙り込んでいた。


「名無しさん、お前は俺と居ると駄目になる……」


リヴァイは少し寂しそうな顔をすると、再度上着から私の手足用の錠の鍵を取り出すと、私を自由にした


「……え」


訳も分からずただ見つめている私の頭をリヴァイは優しく撫で上げて来た。


「そんな顔するんじゃねぇ、てめぇはもう俺と会わなくてもいい」


その言葉に対して私が聞き返す前に、家のドアがけたたましく鳴り出した



ーーーコンコンコン!!!



「リーーヴァーイーーーー!!」

「……来たか」


その声のする方に私は腕を引かれて行った。

そして、音の鳴る玄関先に立っていたのはリヴァイよりも身長があるメガネの女性だった


もしかして、……例の彼女なのだろうか。

いや…違う。調査…兵団?

「……てめぇ、私服にしろって言った筈だ」


リヴァイはメガネの女性に少し声を荒げる

何故…そんな小さな事で怒るのだろうか?と私は疑問を抱きながらも、リヴァイと女性を交互に見た。


「ごめんごめん!!私他に持ってなくってさ?んで、名無しさんちゃんはこの子?」

「あぁ」


私は咄嗟にリヴァイの背に隠れたが
直ぐにメガネの女性に手を引かれてしまう。


「怖がらないでよ!私は誰かさんと違って乱暴ではないからさ?」


はははっと笑う女性に、リヴァイは軽く蹴りを入れた。きっと二人は互いに信頼し合う仲なのだろう。



「ごめんごめん!!まぁ、私は約束守るよ!それに……エレンの様なへまはしないさ。だから安心してよ、リヴァイ」

「……兵服で来た時点であり得ねぇ」

「まぁ、じゃあ名無しさんちゃん、行こう!」


(え?……行こう?
…私は自由になれるのでは?)


私は更に頭の中はぐちゃぐちゃになり、何も整理ができてなく、必死に抵抗をしていた


「え?!あの、やだ…………」


必死にリヴァイの袖にしがみつく私に、リヴァイは力尽くで私を引き離してきた

「……名無しさん……。おいハンジ!早く連れてけ」

「え…いいのかい?リヴァイ。名無しさんちゃんって案外リヴァイとの暮らし気に入ってたりするかもよ?」

「……クソメガネ、くだらねぇ事言ってないで早くこいつを連れてけ!。……名無しさん」


私はリヴァイに優しく名前を呼ばれたと同時に、頬を撫でられた


『……今まですまねぇな……。』



その優しい指先、優しい視線を最後に
私はメガネの女性に手を引かれ、リヴァイの部屋を出る


…私はリヴァイと一言も言葉を交わさなかった。



「……リヴァイ」


ハンジと呼ばれる女性により、私は顔を隠すかのように深く深くフードを被され、時刻が夜だった事もあり


周りの景色は何も見えず、私は自分がどこに向かっているのかもわからなかった。

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