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□……あの味だ……。
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……あぁ
懐かしい匂いがするぜ……。
ついに…風邪で
頭も鼻もイカれたか?
……母ちゃんの
オムオムの匂いに間違いねぇ
もっかい母ちゃんのオムオム
食べたかったな…………
(…………起きなさい)
……母ちゃんか……?
(……ジャンボ、起きなさい!ジャンボ!)
!???
「か、母ちゃん!??」
俺が布団を蹴りあげ
飛び起きると、目の前には
フライパンを持った名無しさんがいた。
「……誰があんたの母ちゃんよ!しっかりしてよ」
……あぁ……
そうだ……ここは……。
兵団の寮か……
母ちゃんがいる筈もねぇよな……
「それより名無しさん、そのフライパンは何なんだ?」
俺はいい匂いが漂うフライパンを指差した。
「風邪ひいたジャンに作ったのよっ、私特性のオムオム〜!まぁジャンのお母さんのオムオムには叶わないけど?」
…俺は、無償にこっぱずかしくなった
オムオム……それは
俺が幼少期オムライスの事を……
そう呼んでいた訳で…あって…
「って…何でお前までオムオムって
言ってるんだよ!???」
……俺は恥ずかしくて
たまらなくなり、布団へ潜り込んだ
「ジャン、せっかく作ったんだから食べてよ。フライパンわざわざ借りて来たんだよ?ねぇ〜」
「……後で食う!!お、置いておけ!!!」
俺は布団の中から声をあげた。この赤面顔は……お前にだけは見せたくねぇ
そう思った時だった
「温かいうちに食べてよ。……寝言で『オムオム』って何回も呼んでたから…作ってあげたんだよ?」
小さな、今にも泣きそうな声で
そんな事を言い出すから
俺はこの布団から出るしかなかった。
「今食う、大切な彼女が、俺のために折角作ってくれたしな?」
「ジャンっ」
名無しさんの作ったオムオムは
母ちゃんの懐かしい味と似ていて
俺は幸せを感じた。
「味どお?ジャンボ」
「……エレンの影響か知らねぇけど、その……ジャンボだけはやめてくれ……。」
「あぁ、ごめん」
「味はすごい旨い。また……作ってくれると嬉しいぜ」
おわり