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□不器用な恋
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「…はぁ」
恋焦がれるナナシは
朝から一枚の手紙を見つめ
ニヤニヤとしていた。
「どうしたのです?ナナシさん」
たまたま私用で会いに来ていた胡蝶は
ナナシの手に握られた手紙を奪い、真顔で読み始めた
「俺のナナシへ
離れてる期間が長いが
ずっとお前の事を
想っている。
次会えた時には
渡したいものがある
不死川 実弥 」
「な、なに勝手に見てるんですか!!!」
胡蝶の持つ手紙を奪いとったナナシは、顔を赤く染める
「いいと思いますよ。今は季節も春…恋をするのにぴったりですね」
胡蝶の視線の先、沢山の桃色の花びらが舞い落ちていた。
「他の人には…言わないでくれますか?」
ナナシと不死川は恋仲にあるが、任務に支障がでては困ると公言しない事を互いに決めていたのだ
「わかりましたよ」
「ありがとうございます。」
「それにしても…あの不死川さんが恋文なんて…とっても気持ち悪いですねっ。(それに、俺のナナシへって…)」
胡蝶はニッコリ笑うと蝶のようにヒラリと去っていった。