□別れ
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あんなにも執着していた彼氏と別れる時は、とても呆気ないものだった。






童磨から連絡があり、お互い自分のやるべき事を頑張ろうねって話し合って



笑顔で別れた名無し



悲しや、寂しさといったものは微塵も無く、笑いながらサヨナラを告げれた自分自身に驚いた。


6年もの間一緒にいた彼氏の童磨と過ごすよりも、今は限られた学園生活を満喫したいと気持ちが大きくなった名無しだからこそ別れ話に素直に応じたのだ


別れた、と言うより


解放されたに近かったのかもしれない。



もしも不死川実弥が担任ではなかったら、童磨に尽くす為に学園を去っていただろう


学園を辞めてまで童磨に尽くしていたなら、名無しの人生は底辺へと沈んでしまっていた



妻子ある者と共にいると言うことは、自分にも相手にもかなりのリスクがあるのだから……。





童磨の存在が完全に『元カレ』となった名無しは、今までしてこなかった事を満喫し始めていた。





放課後にクラスの友達とクレープを食べに行ったり、グループで連絡を取り合ったり、カラオケに行ったり、プリクラを撮ったりと


そんな学生らしい事をし
心から学生生活を楽しむ名無し


それもこれも、全て担任の不死川先生のおかげだと、本人も心から感謝していたのだった。









名無しが安定して学園に通い始めて数ヶ月が経ったそんなある日の事だ。




不死川は校内の人気のない場所で固まる名無しを見つけ「なにしてるんだ?」



…と、声かけるつもりで近づいた。




しかし、




固まる名無しの目の前には彼女の一つ上の学年の男が立ちすくしていた




_____名無しちゃん、この前の話…考えてくれたか?



…錆兎先輩……私は…。_____





どうやら名無しに告白をした先輩が、その答えを聞いている様子。




そんな学生らしい名無しの姿を見て、安心した不死川は彼女に声をかけずに、職員室へと向きを変え歩き始めた。




(良かったじゃねェか)




だが、安心したと同時に…不死川の心には少しだけ寂しい気持ちが産まれた気がしたのだった












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