デート練習
□それだ!
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ある日、父のもとに手紙が届いた。
竹中家に嫁いだ長女、桜からだ。
手紙には、両親や百合を気遣う文や最近のことについて書かれている。
そして手紙の最後に、こう書かれていた。
『竹中家に百合と同い年の男の子がおります。一度百合に会わせて、男の子に慣れさせるのはいかがでしょうか。お返事次第では私が彼に直接お話を…』
それだ!と父は思った。
その男の子に会わせれば、百合も少しは男慣れするであろう。
少しでも男性と過ごさせれば、いざというときに百合も自分も困らなくて済むかもしれない。
だが…
父には不安があった。
「竹中の息子か…」
父は竹中の体型を思い出す。
背が高く、筋肉がついていて、肩幅が広い。
男!という感じの体つきだ。
桜が嫁いだのは竹中の長男だから、多分次男のほうであろう。
長男も父に似てがっしりしている。
となると…
父は途端に心配になってきた。
男とのふれあいがほとんどなかった百合に、あれはきつい。
「と、とりあえず、返事を書くとするか…」
父は隣の部屋に行き、長女への手紙の返事を書くことにした。