暗い夜
□三夜目
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しばらく歩き、翔と奈都はとあるアパートの一室に着いた。
「いいか、ここが俺の家だ。お前にはしばらくここで暮らしてもらう」
奈都にそう前置きしてから、翔は部屋のドアを開けた。
中は思ったよりも狭くなく、人二人ぐらいが普通に暮らせるほどの広さだ。
玄関のガラスのついたドアを開け、リビングに入る。
そこから見て正面と左側に襖があった。
どうやら3部屋あるらしい。
翔は左側の襖を開けた。
「ここがお前の部屋だ」
その部屋は畳の部屋で、隅に布団が畳んで置いてある。
「今から昼御飯を作るから…ちょっと待ってろ」
そういうと翔は部屋の外に出た。
一人になって、奈都はあることに気がついた。
(あの人の名前…私、まだ聞いていなかった…)