暗い夜

□二夜目
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「あの…」

奈都が翔に話しかける。

地下牢を出ると、一気に日の光が襲ってきた。

特に今は8月。

普段よりも強烈な日差しが人々を襲う月だ。

「なんだ?」

先を歩く翔は振り返らずに答えた。

「あなたはどちら様で…なぜ私を…」

奈都が質問した。

「簡単に言えば、それが俺の仕事だからだ」

翔の返事はそっけない。

「仕事…?」

訳のわからない奈都の口調に翔がぷ、と吹き出した。

「あぁそうだ。お前みたいなやつを助ける、とか言う仕事な。それをやらないと、金が貰えない」

「お金…」

「あぁお金だ。それがないとみんな生活できない」

人が多くなってきた。

翔が奈都の手を掴む。

「人通りが多くなってきた。はぐれるなよ」

「はい…」

しばらく人混みを進む。

翔が引っ張ってくれたお陰で、迷わずにすんだ。

(そういえば、この人の名前聞き忘れた…ちゃんと聞いておかないと…)

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