暗い夜

□一夜目
1ページ/1ページ

午前11時。

とある地下牢。

真っ昼間なのに、その地下牢は薄暗かった。

ここの地下牢はいわゆる奴隷や他国からの人質をつないでる。

それぞれ部屋が与えられている。

部屋は通路を挟んで両側に作られていた。

その部屋は狭く、汚い。

そんな通路を一人で歩く青年がいた。

その青年の名前は翔。年は15才。

翔は、鉄格子のはまった部屋を覗いていった。

「ここでもない。ここじゃない」

翔が言った。

翔の声は地下牢に響いているが、誰も反応しない。

しばらくして、翔の足が止まった。

止まった場所には、一つの部屋があった。

そこには、少女がいた。

黒い髪は肩までの長さで、目のいろと同じ。色が白く、痩せている。

「間違いない」

翔は部屋の中にはいった。

少女が顔をあげる。

「お前の名前は?」

翔が聞いた。

「…奈都」

少女…いや奈都が、細い声で答えた。

「年は?」

「…13」

先程と同じような声で返ってきた。

「よし。じゃあ…」

翔は奈都に近づくと、鎖を引きちぎり始めた。

「…何、してるんですか」

奈都が戸惑ったような声を出す。

「…出るぞ」

全ての鎖を引きちぎり終わると、翔が奈都の細い手をとる。

そのまま、奈都を引っ張り、無理矢理牢の外に連れ出した。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ