満ちる世界
□しつこい
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「よし。大体のことは教えられたな」
師匠が満足げに頷く。
「それにしても半兵衛覚えるの早いね!ビックリしたよ!」
穂香が半兵衛の背中をバシバシ叩きながら言った。
「いった…」
「こらもうやめなさい。半兵衛がいたがってるでしょ」
瑞樹が穂香を止める。
「しかしどうするか…半兵衛が泊まるところは…」
師匠が腕をくんで考え始める
「あ、大丈夫だよ!寮にあるあたしたちの部屋は四人部屋だし」
穂香が言った。
「いやしかし、性別が…」
師匠は尚も考え続ける。
「平気ですよ。私たちそんな事しませんから」
瑞樹がね、と穂香に同意を求めた。
うんうんと穂香が頷く。
「…じゃあ頼んだぞ。くれぐれも良からぬことは…」
念をおす師匠に、穂香がヒラヒラと手をふった。
「だーいじょーうぶー」
「…本当か?」
師匠はしつこい。
「本当!」
穂香は軽く切れだした。
「じゃあ頼むぞ」
師匠は寮に帰る三人の後ろ姿を見送った。