短編
□憧れの。
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「雅ーー!!!!!!!!」
「な、なに!?どうしたの空五倍子」
「梵が、!!!!梵が!!!!」
いつも慌てているけれどそれ以上に慌てている空五倍子。
どうしたのかと聞くと何でも梵天が熱っぽいらしい。
「梵天ー」
静かに扉を開けると、いつもより虚ろな目で少し顔の赤い梵天が目だけこちらを向いた。
「ぅ、っ…ん。雅かい?」
「ちょ、大丈夫じゃないじゃん!!!いつから?頭痛いと思ったの」
「今朝」
「なんで言ってくれないのよーもー!」
ほんっとに、びっくりした。
「ちょっと失礼」
梵天の額に自分の手を乗せる。
「あ、つ、い」
私よりは絶対熱い。
「朝から服は着替えた?」
「そんなんできるわけないだろう…」
体が重たいのに。
「着替えた方がいいよ。着替えてできるだけ汗出した方が治りも早いらしいから」
「無理だるい」
「でも、」
「雅が着替えさせてくれるならいいよ」
「病人が調子に乗らないの」
そうは言っても、やっぱり顔は赤くて熱があるんだなってのは嫌でも伝わってくる。
「…着替える?」
「うん」